3月10日、海洋健康企業であるRunning Tideは、海洋が自然に二酸化炭素を除去する能力を加速させ、深海に永久に沈める技術を用いた海洋ベースの二酸化炭素除去について、技術大手Microsoftと合意したことを発表した。
本契約により、Running TideはMicrosoftに代わって12,000トンの二酸化炭素(CO2e)相当量を除去することになる。
炭素の除去は、気候変動に対処するための重要な手段として浮上しているが、大気から炭素を回収・貯蔵する技術やソリューションのほとんどは、まだかなり初期の段階にとどまっている。昨年発表されたIPCCの画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオでは、二酸化炭素除去(CDR)方法が今後数十年にわたって年間数十億トンの除去量に拡大するとされている。
2017年に立ち上げられたRunning Tideは、炭素サイクルのリバランス、グローバルサプライチェーンの脱炭素化、海洋生態系の回復、沿岸コミュニティの活性化といった介入策を設計・実施している。同社は、複数の自然炭素除去経路の増幅と検証を目的とした海洋炭素除去システムの設計と実装を行っている。光合成や海洋アルカリ性の強化などの自然プロセスを利用して、速い炭素サイクルから炭素を固定し、低エネルギー物質移動技術を利用して炭素を深海に沈め、遅い炭素サイクルに安全に長期貯蔵する。
炭素除去のサポートと活用は、2030年までにカーボン・マイナスを実現し、2050年までに過去の排出量をすべて除去するというMicrosoftのイニシアティブの一部をなすものである。Microsoftは最近、Direct Air Capture(DAC)の新興企業であるクライムワークスと、1万トンのCO2排出を永久的に除去する契約を締結したことを発表した。
同社とMicrosoftの合意には、効果的な測定、報告、検証(MRV)を確実に行うためのイノベーションに焦点を当てたものも含まれている。Running Tideによると、海洋ベースのCDR市場はまだ非常に初期段階にあり、第三者機関による認証が不足している。Microsoftは、炭素除去の主要な買い手として、品質保証を可能にするゲートを契約段階に組み込んでいる。例えば、MRVシステムの品質が向上すれば、より大規模な炭素除去の購入が可能になると、Running Tideは述べる。
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(参考記事)RUNNING TIDE BECOMES MICROSOFT’S FIRST OPEN OCEAN-BASED CARBON REMOVAL SUPPLIER