米国、クリーンな水素製造を加速するプロジェクトに7億5000万ドルを投資

3月14日、米国エネルギー省はクリーン水素のコストを劇的に削減することを目的とした一連のプロジェクトに7億5,000万ドル(1100億円)を割り当てると発表した。本プロジェクトは、先進的な電解技術やクリーン水素システムおよびコンポーネントの製造・リサイクル能力の向上などの分野を支援するもので、今後数年間で米国のクリーン水素生産能力を大幅に増強するという政府の考えを支援するものである。

本発表は、バイデン政権が2023年6月に発表した「米国クリーン水素戦略とロードマップ」に続くもので、エネルギー集約型産業で使用される低炭素水素の生産、使用、流通を大幅に拡大することを目的とし、米国のクリーン水素の生産と使用を2030年までに1,000万トン、2050年までに5,000万トンまで拡大するという目標が含まれている。

水素は、クリーンなエネルギーの未来への移行における重要な構成要素のひとつであり、特に、風力や太陽光のような再生可能エネルギーによる解決策が現実的でないような、排出量の削減が困難なセクターにとって重要であると考えられている。

現在、米国では約1,000万トン、世界全体では約9,400万トンの水素が生産されているが、その大部分は化石燃料を使用して抽出されており、汚染物質や温室効果ガスを排出している。例えば、米国の水素生産は、主に天然ガスからの水蒸気メタン改質による抽出に基づいており、現在、年間約1億トンの温室効果ガスを排出している。

他の物質から水素を抽出するプロセスの動力源として再生可能エネルギーを使用するグリーン水素のようなクリーンな水素製造能力の開発には、インフラ、電解、輸送、貯蔵などの分野で大規模な投資が必要となる。

その中には、電気分解によって製造されるクリーン水素のコストを削減するための研究・開発・実証・展開(RD&D)活動に10億ドル、クリーン水素システムと材料の製造とリサイクルのための改良プロセスと技術のRD&Dに5億ドルが含まれる。

【参照ページ】
(原文)Biden-Harris Administration Announces $750 Million to Support America’s Growing Hydrogen Industry as Part of Investing in America Agenda
(日本語参考訳)米国、クリーンな水素製造を加速するプロジェクトに7億5000万ドルを投資

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-15

    ESGフロントライン:移行計画の“実行力”が企業価値を左右する時代へ

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-7-15

    ESRS開示項目66%削減案へEFRAGが草案公表。ダブルマテリアリティ評価も負担軽減

    7月、欧州のサステナビリティ報告基準を策定する欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、欧州サステ…
  3. ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025-7-11

    ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025年7月に公表されたSASBスタンダードの改訂案は、IFRS S2の産業別ガイダンスと連動す…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る