4月12日、MSCは、今後10年間で海洋と持続可能な水産物の供給を守るために1億米ドル(約130億円)を動員するという野心的な目標を発表した。
MSCは、気候変動、乱獲、生息地の破壊、不適切な漁業管理など、海洋に対する複合的な圧力に対し、革新的な研究に資金を提供し、持続可能な漁業への道のりのあらゆる段階を支援している。本資金確保は、MSCラベルの使用料と第三者からの寄付金ですでに1,000万ドル(約13億円)を集めている「オーシャン・スチュワードシップ・ファンド」を通じて提供される予定である。
本基金の大幅な拡大は、より多くの漁業、特に小規模漁業や新興国の漁業を支援し、持続可能な漁業への道を開くためのものである。小規模漁業は、天然捕獲漁業従事者の約90%を雇用し、取引される水産物の50%は発展途上国からもたらされている。基金の受益者には、鳥の混獲を減らす南アフリカの漁業や、エイを保護する新技術を試みる地中海の職人漁師などがいる。
また、気候変動が野生捕獲漁業に及ぼすリスクを評価し、将来的な適応を支援する新しいプロジェクトに対しても資金を確保している。本研究では、MSCプログラムに参加している500以上の漁業を分析し、予測される気候の影響により、持続可能な漁業管理のためのMSCベンチマークが危険状態にある漁業を特定する。
基金からの支援は、インドネシアのワタリガニ漁業のサステナビリティに向けた前進も促している。マドゥラ島では25万人以上の雇用がワタリガニ漁業に依存しているものの、2008年以降、漁獲量とカニのサイズが減少しており、生態系と生活の両方が危険にさらされている。本資金によって、成長率や死亡率、資源分布の理解を深めるための調査とともに、カニ資源の再生計画の策定と実施を支援することができる。
2018年設立の本基金は、MSC認証ラベル付き水産物のロイヤリティ売上の5%によって支えられている。2022年以降、慈善団体からの寛大な寄付によってさらに強化されており、今後10年間、さらなる資金を動員することで、より多くの漁業やコミュニティが直面する課題に対応することが可能となる。
【参照ページ】
(原文)US$100 million goal to scale up sustainable fishing
(日本語訳)MSC、持続可能な漁業の規模拡大に向け、約130億円の動員を目標