GPIF、ESG株式パッシブ運用の改善に向けた取り組みを発表

4月14日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は既採用のESGインデックス運用に関する改善について発表した。GPIFは、投資先及び市場全体の持続的成長が運用資産の長期的な投資収益の拡大に必要との考えの下、ESGを考慮した投資を実施する。PDCAサイクルを回す活動も積極的に展開している。

ESG以外の要因によるパフォーマンスの振れは極力回避したいとして、「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」と、「S&Pカーボンエフィシェント指数シリーズ」の2つの指数メソドロジーの改善、スチュワードシップ活動・ESG投資の効果測定を行うことを決めた。

MSCI日本株女性活躍指数(WIN指数)については、企業の女性活躍に関する取組みを評価する性別多様性スコアは株価パフォーマンスにポジティブに貢献しているものの、クオリティスコアによるウエイト調整が主因となり、パフォーマンスは悪化傾向にあった。これを受け、GPIFは、ESG評価手法や指数のメソドロジーの改善のために、ESG評価会社や指数会社と積極的に対話を実施した上で、クオリティスコアによるウエイト調整を除外することを決定した。2023年5月からの適用となる。

S&Pカーボンエフィシェント指数シリーズについては、S&Pダウジョーンズ・インデックス社と対話を重ね、S&Pカーボンエフィシェント指数シリーズのメソドロジーの変更に関するコンサルテーションを実施。同社は企業のTCFD開示を評価に反映することを決定した。2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードで、プライム市場上場会社に対して「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示」が求められることを受けたものである。2023年6月から適用される。

またPDCAサイクルを適切に回すために、高度な統計分析の知見を有する研究機関やコンサルティング会社と協働し、2023年度から2024年度にかけてスチュワードシップ活動・ESG投資における定量的な効果測定を行うことも発表した。エンゲージメントの効果測定や運用受託機関の議決権行使に関する検証、ESG指数に基づく株式パッシブ運用の効果検証、企業価値・投資収益向上に資するESG要素の研究などをプロジェクトテーマとして設定している。

【参照ページ】
ESG株式パッシブ運用の改善に向けた取り組み

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