12月19日、EU理事会は、欧州委員会に対し、植物保護製品の持続可能な利用に関する既存の影響評価に対する補完的な研究を提供するよう要請する決議を採択した。
今回の会合では、EUレベルで植物防護製品(PPP)の使用とリスクを2030年までに50%削減し、より危険な農薬の使用も減らすという提案を歓迎。さらに、本提案がEUにおけるより持続可能な農業への移行における重要な手段になりうることに同意している。しかしながら、欧州委員会が提供した影響評価は、ロシアのウクライナ戦争勃発前に収集・分析されたデータに基づいているため、加盟国は、食料安全保障とEU農業部門の競争力に対する長期的な影響が考慮されていないことを懸念している。
12月12日の農業・漁業理事会でチェコ議長国が提出した進捗報告書によると、欧州委員会の影響評価は、本提案がEUの農業部門に与える潜在的影響と食糧依存の増大の可能性に関する十分な定量分析を行っていない。また、通常の化学農薬に代わる低リスクの代替品が限られており、EU市場における輸入食品に対する同様の要件もないことから、敏感な地域での植物防護製品の禁止が提案されているが、この影響も考慮していない、と指摘している。さらに、国レベルでの削減目標は、各加盟国の具体的な状況を考慮し、柔軟に決定されるべきであると指摘している。
したがって、理事会は、農業の中心的な目的である食糧安全保障を確保するために、上記の問題についての補足的なデータを要求する。この理事会決定は、欧州委員会に対し、必要なデータをできるだけ早く、遅くとも発効後6カ月までに提出するよう要請する。今回の決定では、プロセスの遅延を避けるため、補完的データの要請とは関係ない問題については技術レベルでの作業を継続することを強調している。
【参照ページ】
(原文)Council calls for a complementary impact assessment on the sustainable use of plant protection products proposal
(日本語参考訳)EU理事会、欧州委員会に植物保護製品の利用に関する補完的な影響評価を要請