EU、「デジタルの権利と原則に関する欧州宣言」を発表

12月15日、欧州委員会、欧州議会、EU理事会は、「デジタル著作権および原則に関する欧州宣言」に署名した。今年1月に欧州委員会が提出した本宣言は、EUの基本的価値観と基本的権利に則り、人々を中心に据えた、安全・安心で持続可能なデジタル変革に対するEUのコミットメントを示すものである。

同宣言は、欧州の価値観、およびEUの法的枠組みに明記された権利と自由が、オンラインでもオフラインと同様に尊重されなければならないことを市民に示している。6つの章で構成される同文章は、新技術に取り組む政策立案者や企業の指針となる。また、同宣言は、世界中のデジタル変革に対するEUのアプローチの方向性を示すものでもある。

EUは、「デジタルの権利と原則に関する宣言」によって、以下のように欧州の価値を確保したいと考えている。

  • デジタル変革の中心に人々を据える。
  • 接続性、デジタル教育、訓練、技能、公平で公正な労働条件、デジタル公共サービスへのアクセスを通じて、連帯と包摂を支援する。
  • 選択の自由と公正なデジタル環境の重要性を再確認する。
  • デジタル公共空間への参加を促進する。
  • デジタル環境において、特に若者の安全、安心、エンパワーメントを向上させること。
  • サステナビリティを促進する。

具体的には、すべての人が安価で高速なデジタル接続を利用できること、設備の整った教室とデジタルに強い教師、公共サービスへのシームレスなオンラインアクセス、子どもたちにとって安全なデジタル環境、勤務時間外の接続解除、デジタル製品の環境影響に関するわかりやすい情報、個人データの使用方法と共有先に関する管理などが挙げられる。

本宣言への署名は、デジタルライフのあらゆる分野でこれらの原則を推進・実施し、2030年のデジタルコンパスの目標を達成するという、EUとその加盟国の共通の政治的コミットメントを反映するものである。2030年の目標を達成し、宣言が具体的な効果を生み出すために、欧州委員会は進捗状況を監視し、年次報告書「デジタル化の10年の現状」を通じて報告する。さらに、同宣言は、EUの国際関係において、人間と人権を中心に据えたデジタル変革をどのように形成していくかの指針となる。

【参照ページ】
(原文)Digital Rights and Principles: Presidents of the Commission, the European Parliament and the Council sign European Declaration

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-10-3

    お役立ちツール「開示基準の早見表」のご紹介

    ESG Journalでは、実務に役立つ資料やツールを無料で公開しています。今回は、大好評の「開示…
  2. 2024-9-26

    デロイトが2024年CxOレポート発表:気候変動が最重要課題に

    9月11日、ニューヨーク—デロイトが発表した「2024年CxOサステナビリティレポート: ビジネス…
  3. 2024-9-25

    SAP、ESG報告の新たな統合ソリューションを発表

    9月11日、テクノロジー企業であるトムソン・ロイターズ(TSX/NYSE: TRI)は、SAPとの…
ページ上部へ戻る