6月21日、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、日本の総合建設会社/ディベロッパー10社に対し、人権方針の内容及びサプライチェーン方針の実施状況を確認するためアンケート調査し、その結果をもとに報告書を公開した。
対象企業は、株式会社大林組、鹿島建設株式会社、清水建設株式会社、住友不動産株式会社、大成建設株式会社、株式会社竹中工務店、東急不動産ホールディングス株式会社、野村不動産ホールディングス株式会社、三井不動産株式会社、三菱地所株式会社の10社である。
本報告書では結論として、各社は人権方針を定め、国際人権基準にも配慮した上で、人権方針の実施体制を整備しつつあり、指導原則の重要性が浸透しつつあることを認めた。しかし、全ての企業が二次・三次以降のサプライヤー・下請企業を十分に把握できているとはいえない現状にあり、したがってバリューチェーン全体の人権リスクが把握できているとは言えず、今後さらに人権リスクの特定に向けた取り組みが求められるとの見解も示した。
また、サプライヤー及び下請企業のリストを公開することもサプライチェーンの透明性を担保する上で、同様に重要であることが示唆された。サプライヤー等の監査については、定期的に監査を実施している企業もあったが、監査を実施していない企業もあり、サプライチェーン全体として人権に取り組む体制を構築するために各企業が定期的な監査を実施することが求められる。監査体制につき構築途上であれば、今後の構築プロセスにつき公開した上で、ステークホルダーとの対話に基づく体制整備が求められるという。
建設業においては、技能実習生の人権侵害、長時間労働、土地収用等地域住民の権利侵害、環境汚染等が特徴的な人権リスクとなっていることから、各社が建設業で特にリスクの高い問題を人権デュー・ディリジェンスやステークホルダーとの対話を通して把握し、重点的に対応することを望んだ。
本報告書によると今後は、取組みの実効性を検証し、企業の人権尊重責任を実現するために業界内の取り組みも含め、ステークホルダーとの協働がより一層期待されるという。
【参照ページ】
日本の建設業関連会社に対するアンケート結果報告