6月8日、国連が招集した大手年金基金および保険会社73社による国際イニシアティブ、Net-Zero Asset Owner Alliance(AoA)は、米国証券取引委員会(SEC)が提案した気候変動開示規則を支持し、強く歓迎した。
AoAメンバーは、1.5°Cの道筋に沿って投資ポートフォリオを脱炭素化し、遅くとも2050年までに温室効果ガスの排出量をネット・ゼロにすると公約している。 さらに、AoAのターゲット設定プロトコルを用いて設定されたターゲットについて、科学的根拠に基づくポートフォリオの暫定的な削減量の公表を約束する。本コミットメントの重要な側面は、保有するポートフォリオに起因する排出量を追跡し、実体経済における炭素排出の削減を支援することである。
AoAのターゲット設定プロトコルでは、「信頼できるデータが限られていることは、情報の非対称性と投資の意思決定における課題を提供する重要な問題である」と指摘されている。透明性、信頼性、標準化された気候関連情報開示がなければ、機関投資家として妥当と思われる範囲で、投資判断や効果的なポートフォリオ戦略の設計を行うことができない。このような理由からAoAはSECの規則案を歓迎し、支持するという。
AoAがデータ不足を補う最も効果的な方法の一つは、企業の排出量に関する義務的な開示要求を強化することである。SECは最近、米国に拠点を置く企業の気候データの質と利用可能性を大幅に改善する一連の規則案に関する協議を開始した。
特に、AOA会員は以下の点を強調した。
- スコープ1、2、3の排出量開示は、投資家が効果的なポートフォリオ戦略を決定するために必要な情報であり、SEC規則案への支持を表明するものであること。
- AoAの資産を運用する社内外の資産運用会社が長期的な利益や目標に沿うためには、ポートフォリオや活動全体を効果的に比較するための、信頼性が高く、一貫性があり、広く標準化されたデータが必要であること。そのためにAoAは、気候関連リスク、気候変動目標、シナリオ分析、企業移行計画の報告に関する規定を歓迎すること。
- 企業や投資家が、気候変動による財務上・事業上のリスクや機会を評価・管理する上で、これらの情報の利用可能性を段階的に変化させることが重要であり、AoAは、スコープ1と2の排出量について同じ移行期間を設け、限定的保証から合理的保証への移行を行うという欧州委員会の提案に同意していること。
【参照ページ】
(原文)NET-ZERO ASSET OWNER ALLIANCE WELCOMES PROPOSED US SEC CLIMATE DISCLOSURE RULES
(日本語訳)Net-Zero Asset Owner Alliance、SECの気候変動開示規則案を歓迎