6月8日、ファミリーオフィスは、資産運用動向を調査したレポート「グローバル・ファミリーオフィス・レポート2022」を発表した。以下が本レポートのエグゼクティブサマリーである。
予測不可能な時代における、新たな選択肢の模索
経済の先行きが不透明な中、ファミリー・オフィスは投資の選択肢を再検討している。特に、質の高い債券が意味のある分散投資を実現できなくなった場合、相関性のないリターンを見つけるのは難しいと考えている。債券の配分を減らす一方で、リターンのために流動性を犠牲にし、プライベート・エクイティ、不動産、民間債権への投資を増やしている。近年とは異なり、よりアクティブな戦略も模索されている。
最大の懸念材料である、情報と世界的な地政学
ファミリー・オフィスは、富を拡大することを第一の目的としている。経済情勢の変化が懸念材料となっており、注目すべきは 高騰するインフレへの懸念である。特に、世界の地政学が不安定な時期に、一部の資産のバリュエーションが高止まりしているためである。
プライベート・エクイティは有力なリターンの源泉
プライベート・エクイティは、公開株式市場よりも高いリターンが期待でき、投資機会も増大していることから、これまで以上にファミリー・オフィスは投資を増やしている。
ファミリー・オフィスは、直接投資とファンドに資金を配分しており、通常、専門知識のあるところには直接投資を行い、分散投資や地域やセクターを超えた投資規模の拡大を図るためにファンドを利用してる。
サステナブル投資の中での選択的なアプローチ
半数以上のファミリーオフィスが持続可能な投資を行っており、ポートフォリオに反映させたい目的や目標を絞り込むことで、より選択的になってきている。また、グリーンウォッシュを回避し、インパクトの測定という課題に取り組むため、デューデリジェンスが強化されている。
ファミリー・オフィスのコスト上昇
コストが上昇する中、ファミリーオフィスは引き続き中核的な活動に注力する。70%以上が、資産配分、リスク管理、会計・報告などを社内で行っている。今後3年間はコスト増が予想され、その中でも最大の間接費である人件費が最も上昇する見込みである。半数以上が、給与や賞与などの人件費の増加を見込んでいる。