10月25日、Appleは、同社の2030年のバリューチェーン脱炭素化目標に向けて、サプライヤーに対して温室効果ガス(GHG)排出量への対応を促すとともに、一連のクリーンエネルギーおよび気候ソリューションへの投資、パートナーシップ、プロジェクトを発表した。
同社は、Appleの生産に関連するスコープ1およびスコープ2の排出削減を含め、カーボンニュートラル達成に向けた進捗状況を報告するようサプライチェーン内の企業に求めると述べている。Appleは毎年の進捗状況を追跡・監査し、脱炭素化に向けて緊急に取り組み、測定可能な進歩を遂げているサプライヤーと提携する予定である。
今回の発表は、2030年までに事業全体、製造サプライチェーン、製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを実現するという、Appleが2020年に掲げた目標の一環を成すもの。
Appleは2020年にカーボンニュートラルを達成し、より広範なバリューチェーンの排出量に対応するための取り組みに重点を置いてきた。Appleのカーボンフットプリントの70%以上は、製品の製造に使用されるエネルギーから生み出されており、顧客がデバイスの電源として使用する電力は22%を占めている。
同社によると、主要な製造パートナーのうち200社以上が、25か国におけるApple製品の製造に再生可能エネルギーの使用を確約している。
Appleは声明の中で、無料のeラーニングリソースやライブトレーニングなどを提供し、サプライヤーと協力して再生可能エネルギーと炭素除去のための効果的な解決策を見出すと述べている。同社は、無料の公開トレーニングプラットフォームを作成し、企業が100%クリーンエネルギーとカーボンニュートラルへの移行を加速できるよう、リソースと支援ネットワークへのアクセスを確保する予定である。
Appleは、製品使用による排出に対処するため、ヨーロッパにおける30〜300MWの大規模な太陽光発電および風力発電プロジェクトの建設を促進する計画である。また、自社の事業をクリーンエネルギーで賄うだけでなく、ヨーロッパ大陸のすべてのAppleデバイスに供給できる量の再生可能エネルギーを調達することを目指している。
同社は今年初め、製品使用時の排出量への対応を目的とした初の再生可能エネルギー投資を発表した。テキサス州の2,300エーカーのソーラープロジェクトからクリーンエネルギーを調達したのに続き、最近ではオーストラリアでソーラープロジェクトに投資している。
Appleの2030年の脱炭素化目標では、排出量の75%削減を見込んでおり、既存の技術では現状では避けられない残りの25%については、質の高い自然を利用したソリューションを優先させるとしている。Appleは昨年RESTORE Fundを立ち上げ、植林と林業管理方法の改善を通じて景観への影響改善を目的としたプロジェクトに投資している。Appleはゴールドマン・サックスが管理する同ファンドに2億ドル(約290億円)を出資し、年間100万トンの炭素を大気中から除去することを目標に掲げている。
同社は今回、RESTORE Fundを通じて、ブラジルとパラグアイの3つのプロジェクトに投資し、持続可能な認証を受けた15万エーカーの作業林を復元し、約10万エーカーの原生林、草原、湿地を保護すると発表した。これらのプロジェクトは、2025年までに100万トンのCO2を大気から除去する見込み。
Appleはまた、ナミビアとジンバブエ、中国、ケニア、ヨーロッパ、中東、北アフリカなど、世界中の国や地域で気候変動対策に重点を置いた新しいパートナーシップを次々と発表している。
【参考文献】Apple、世界各地のサプライヤーの再生可能エネルギー利用を支援
【参照ページ】
(原文)Apple calls on global supply chain to decarbonize by 2030 – Apple
(日本語訳)Apple、2030年までに世界のサプライチェーンに脱炭素化を呼びかける