1月31日、オランダの大手投資運用会社Robecoは、世界自然保護基金(WWF)オランダ支部とのパートナーシップの下、生物多様性喪への対応を表明する白書である「Robeco’s approach to biodiversity」 の執筆、発行を発表した。
WWFオランダは、資産運用に生物多様性を統合するためにこのパートナーシップを通じて、 Robecoにおける生物多様性への投資の枠組みと方針を構築し、生物多様性に投資する運用戦略を共同開発する。また、この問題に対する認識を広めるため顧客をはじめとする金融セクターのステークホルダーへの働きかけを行い、生物多様性を各社の方針に組み入れて行動を起こすよう促していく。
本白書では、生物多様性が地球全体や経済活動の将来的な安定にもたらす影響の緊急性について概説している。世界経済フォーラムの推計によると、世界の経済産出量の半分以上(44兆米ドル)が、大なり小なり自然に何らかの形で依存しているため、自然界のシステムが崩壊すれば、経済や金融のシステムも崩れることになるという。
また、本白書では、投資家にとっての生物多様性の財務的重要性について詳述されている。「国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)」が開発した「ENCOREツール(自然資本が与える機会、リスク、エクスポージャーを分析するツール)」のデータを用いたヒートマップ評価によると、 Robecoの運用資産全体の4分の1程度が、少なくとも1つの生態系サービスに強く依存していることがわかった。
2009年にストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム氏は、国際的に著名な科学者のグループを率いて、地球システムの安定性と回復力を制御する9つのプロセスを特定した。この科学者グループは、人類が何世代にもわたって進化・繁栄し続けることが可能な領域を示す、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)の定量化を試みた。
また、人類の持続不可能な開発の勢いが止まらず、気候変動の脅威が高まる中で、9つのプラネタリー・バウンダリーのうち2つ(生物圏の一体性と生物地球化学的循環)で既に限界値を超えていることが、一連の学術的証拠によって継続的に示されている。
取り組みを進めるために必要なデータやツールを構築する上で、このようなコラボレーションは不可欠である。 Robecoは、WWFをはじめとする機関により発足した「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」に、設立当初から署名機関として参加している。このタスクフォースは、金融機関が自然関連のリスクと機会を、戦略的計画策定、リスク管理、資産配分決定に組み込むための枠組みを構築することを目指している。
Robecoは2020年に「生物多様性のためのファイナンス協定」に署名し、2024年までに金融活動と投資を通じて生物多様性を保全、回復することにコミットしている。
【参照ページ】
(原文)Robeco’s approach to biodiversity