EU委員会、すべての金融商品にサステナビリティに関する開示を義務付けることを検討

EU委員会、すべての金融商品にサステナビリティに関する開示を義務付けることを検討

9月14日、EU委員会は、持続可能な金融情報開示に関するコンサルテーションを開始すると発表した。

欧州委員会のコンサルテーションは、持続可能な金融情報開示規則(Sustainable Finance Disclosure Regulation:SFDR)に焦点を当てたもので、資産運用会社などの金融市場参加者が、投資家に対してサステナビリティに関する情報をどのように伝えるか、そのプロセスにおけるサステナビリティリスクの統合やサステナビリティへの悪影響の考慮、金融商品に関するサステナビリティ関連情報の提供について定めている。

本規制には、サステナビリティに焦点を当てた投資ファンドの分類レベルが含まれており、「環境または社会的特性、あるいはそれらの特性の組み合わせを促進する」「第8条」ファンドや、「持続可能な投資を目的とする」より厳格な「第9条」ファンドなど、それぞれ開示要件が異なる。

本規制の主要な要件のひとつで資産運用会社にとって最も困難なもののひとつは、投資決定が気候や環境だけでなく、社会・従業員問題、人権尊重、腐敗防止、贈収賄防止といった広範なサステナビリティ要因に与える主な悪影響(PAI)の報告である。

コンサルテーションでは、SFDRがサステナビリティを主張する商品に「その主張を裏付ける情報を開示し、グリーンウォッシングに対抗する」ことを要求するために設計されたと説明する一方で、これらの要件は「サステナビリティを考慮する商品にさらなる負担を課すとみなされる可能性がある」と指摘し、「関連するサステナビリティの主張にかかわらず」すべての商品に一律の開示要件を課すべきかどうかを検討するよう回答者に求めている。

コンサルテーションでは、この動きは、投資家がサステナビリティを主張しない商品であっても、商品のサステナビリティパフォーマンスを理解できるという利点もあると付け加えている。

コンサルテーションでは引き続き、全ての金融商品についてどのような開示要件が検討されるべきかを尋ねており、タクソノミー関連の開示、エンゲージメント戦略、除外事項、投資プロセスにおいてESG関連情報がどのように利用されているかについての情報などが挙げられている。

EU委員会のコンサルテーションでは、開示要件の変更の可能性、SFDR規制の現在の機能に関する質問に加え、持続可能な金融商品について、現在の「8条と9条」の分類にとどまらず、より「正確な基準に基づくEUレベルの商品分類システム」の開発に関する質問も含まれている。

【参照ページ】
Sustainability-related disclosure in the financial services sector

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成しています。今後の動向により内容は随時更新され…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-20

    SEC議長、ESG株主提案の政治化に警鐘―「企業統治の本質に立ち返るべき時」

    10月9日、米証券取引委員会(SEC)のポール・S・アトキンス議長は、デラウェア大学のジョン・L・…
  2. 【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    2025-10-15

    【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…
  3. 【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    2025-10-15

    【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る