非営利団体Bonsucro、サトウキビの生産基準認証を改訂。生物多様性などグローバルリスクに対応

1月17日、持続可能なサトウキビの促進を目指す国際的な非営利団体であるBonsucroは、サトウキビの生産基準である「Bonscuro認証」の改訂版を発行した。温室効果ガス排出、水、生物多様性、労働者の権利尊重といった重要なグローバルリスクに対応するための新たな要求事項を盛り込んだ。発効は2022年9月からとなる。

Bonsucro認証は、農家や製粉事業者が取得する「生産スタンダード」と、それを調達する流通事業者が取得する「CoCスタンダード」の2つで構成されている。持続可能なサトウキビ生産のための最もグローバルに認知されたフレームワークである上、農家や製粉業者が自分たちのやり方が持続可能であることを証明するための包括的な指標の役割も担っており、製造者らはこの基準を満たすことでサトウキビとその派生品の保証を提供している。また、ISEALの適正業務規範に沿って、この基準は5年ごとに基準を更新されている。

今回の改訂では、土壌管理、水管理、農薬管理、生物多様性管理と、環境影響管理計画の項目が細分化された。気候変動では、1年で5.5%の二酸化炭素排出削減を成功させた経験をもとに排出量が最も多い箇所を特定する要件を追加。さらに、森林保全の面では、森林の農地転換を全面的に禁止した。水管理に関して、灌漑生産性を評価する際に、降雨量などの地域条件を考慮することも追加された。水利用効率に関する指標の開発には、Alliance for Water Stewardshipや世界自然保護基金(WWF)等が策定に協力した。

また、従来は各国の最低賃金に関する制度を遵守することが必要だった労働慣行に関して、「生活賃金マトリックス」と照合して現行の賃金を追跡することを加え、国際労働機関(ILO)の中核条約の遵守を導入した。ジェンダー面では、管理職と熟練職のうち少なくとも15%以上を女性とする新基準も導入。また、安全衛生管理計画の中で労働者のメンタルヘルスを考慮する要件も新設された。

【参照ページ】
(原文)Strengthening sustainability in sugarcane with Bonsucro’s new Production Standard
(日本語訳)Bonsucroの新生産基準によりサトウキビの持続可能性を強化

関連記事

“導入事例へのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-16

    SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか

    2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案…
  2. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  3. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…

ピックアップ記事

  1. アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    2024-4-25

    アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    4月17日、アップルは、バリューチェーンの脱炭素化という目標に向けて大きく前進していることを発表し…
  2. 2024-4-24

    ダウとP&G、プラスチック・リサイクル技術の共同開発契約を締結

    3月25日、 米国の化学世界大手であるダウと消費財業界大手のP&Gは、プラスチック・リサ…
  3. 2024-4-24

    住商グループとパートナー企業、太陽光発電パネルの再利用・リサイクル実証実験に着手

    3月28日、住友商事、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、SMFLみらいパートナーズ…

ページ上部へ戻る