バイデン大統領は、2050年までに米国連邦政府がネット・ゼロ・エミッションを達成するための一連の目標とイニシアティブを示した新しい大統領令に署名した。この大統領令は、政府の建物、車両、調達活動、運営などにおいて、暫定的かつ長期的な大規模行動を義務づけている。
バイデン大統領は気候変動対策を政権の重要な課題としており、就任初日に米国のパリ協定復帰を発表し、2050年までのネット・ゼロ達成コミットを皮切りに、2030年に経済全体の温室効果ガス(GHG)排出量を50〜52%削減するという暫定目標を掲げている。また、クリーンエネルギーへの投資に数十億ドルを投じ、2030年までに米国の新車販売台数の半分をゼロエミッション車にすることを義務付けるなど、気候変動に関する最近の動きも注目されている。
ホワイトハウスはこの大統領令と同時に、新しい目標の詳細を記した「The Federal Sustainability Plan」を発表した。計画の紹介で連邦政府職員に向けたメッセージの中で、バイデンは次のように述べている。
「The Federal Sustainability Plan は、良い仕事や産業を育て、経済的な競争力を高める方法で、我が国が気候危機の課題に対応するのに役立ちます。私たちは、経済をよりクリーンで、より効率的で、より持続可能なものにするために、建設、購入、管理の方法を変革し、世界をリードしていきます。」
この指令は、2050年のネット・ゼロ目標を達成するために、政府が達成すべき以下5つの重要な目標を示している。
①2050年までの100%カーボンフリー電力の実現
②2035年までの100%排出量ゼロの自動車購入(小型車は2027年までの100%購入)
③2050年までの連邦政府の調達による排出量ネット・ゼロ
④2045年までのネット・ゼロの建物ポートフォリオ実現
⑤2050年までの連邦政府の運営による排出量ネット・ゼロ
また米政府はこれらの目標に加えて、政府の調達・運用に関する一連の原則を定めている。その中には、気候変動に強いインフラと運用の実現、気候変動と持続可能性に焦点を当てた労働力の構築、環境正義と公平性の推進、持続可能な製品の購入の優先、国内外のパートナーシップによる進捗の加速などが含まれている。
この大統領令は、米国におけるクリーンエネルギーへの投資や排出量削減の取り組みに大きな影響を与えると予想される。米国連邦政府のポートフォリオは、30万棟の建物と60万台の自動車およびトラックに及び、さらには政府は年間約6,500億ドルの商品やサービスを購入している。
新政策の目的を説明した命令の冒頭で、バイデンは次のように述べている。
「全米で唯一最大の土地所有者、エネルギー消費者、雇用者である連邦政府は、電気、自動車、建物、その他の事業の建設、購入、管理方法をクリーンで持続可能なものに変えることで、民間部門の投資を促進し、経済と米国の産業を拡大することができます。」
【参照ページ】
(原文)Federal Sustainability Plan
(日本語訳)バイデン米大統領、連邦政府の2050年までのネット・ゼロ達成にコミット