11月3日、英国の金融サービス企業および金融市場の行為規制機関である金融行動監視機構(FCA)は、新しいESG戦略を発表した。この戦略は、ポジティブな変化を推進し、ネット・ゼロ・トランジションに貢献する金融セクターを支援するための規制機関の役割を明確にすることを目的としている。
FCAの戦略は、気候変動と広範なサステナビリティに関する透明性の促進、ESGラベル付きの
投資商品・製品の信頼性と誠実性の構築、気候関連とより広範なサステナビリティのリスク・機会・影響に関する企業の管理を強化するためのツールの開発、市場主導の持続可能な経済への移行を実現するための金融の役割の支援、戦略・組織構造・リソース・ツールの開発によるFCA活動へのESGの統合の支援という主要なテーマに基づいて構築されている。
これらのテーマを追求するために、規制当局が強調している主な行動には、気候関連の財務情報開示の強化、サステナビリティレポートのグローバルスタンダードの推進、効果的な投資家のスチュワードシップの奨励、FCAのすべての関連機能へのESGとネット・ゼロの考慮の組み込みなどがある。
FCAは、新しいESG戦略に加えて、資産運用会社や資産家に対する新しいサステナビリティ情報の開示要求や、サステナブルな投資商品の新しい分類・表示システムに関する意見を求めるディスカッション・ペーパーの発行を発表した。
この討議資料は、主要な資本の流れが持続可能な投資に向けられ、ESGをテーマにした商品や戦略が大幅に増加していることを受けたものだ。この普及により、投資家のESG投資の選択肢が大きく広がる一方で、一貫性のある比較可能で意思決定に有用な情報の必要性や、資産運用業界の信頼性を損なうグリーンウォッシュのリスクの高まりなど、規制当局が対処すべき課題も生じている。
FCAは、新しいディスカッションペーパーに対するコメントを2022年1月7日まで受け付け、2022年第2四半期に協議用の新ルールを策定することを目指している。
【参照ページ】
(原文)A strategy for positive change: our ESG priorities
(日本語訳)FCA、ESG戦略を発表。サステナブル投資商品と資産運用会社のための開示規則を開始予定