Fidelity International、2030年までにポートフォリオの排出量半減目標と新しい気候変動投資方針を発表

 

10月26日、投資運用会社のフィデリティ・インターナショナルは、新たな気候変動投資方針を発表した。この方針では、7,880億ドルのポートフォリオにおける排出量を半減させること、および、一般炭への投資を段階的に廃止することを目標としている。

フィデリティ社によると、この新しい方針は同社の積極的な資産運用戦略をネット・ゼロの

未来に合わせることを目的としている。フィデリティは、「ネット・ゼロ・アセット・マネージャー」イニシアチブの創設メンバーとして、すでに投資ポートフォリオのネット・ゼロ化を約束しており、また最近では、2030年までに自社の事業活動においてもネット・ゼロ化を達成するという目標を発表している。

フィデリティ社は、この新しい方針を導くために、独自のClimate Ratingsを導入した。これは、投資先企業や投資候補企業のネット・ゼロ・パスウェイへの適合性を評価するために使用される。この評価に基づき、企業は5つの「バケット」に分類されます。ネット・ゼロを達成または可能にしている、あるいはネット・ゼロの道筋に沿っていると分類された企業は、ネットゼロ・ポートフォリオの対象となり、それ以外の企業はエンゲージメント、投票、さらにはダイベストメントの対象となる。

フィデリティは、気候変動分析をポートフォリオ構築や発行体分析にさらに統合し、ネット・ゼロの発行体や気候ソリューションに投資することに加え、気候基準について企業に働きかけるスチュワードシップ活動や、基準を満たさない企業に反対票を投じることなど、ネット・ゼロ・エミッションのポートフォリオ目標を達成するために取るべき行動を説明した。

今年初め、フィデリティは新しいエンゲージメントおよび投票ポリシーを導入した。このポリシーには、企業が気候変動の影響を管理し、温室効果ガスの排出量を削減することを期待する気候ポリシーが含まれており、排出量、目標値、リスク管理、監督に関する企業の情報開示を提唱している。また今回発表した新たな気候変動投資方針では、企業のエンゲージメント活動に関する更なる情報を提供する。このエンゲージメント活動は、影響の大きい分野の企業を対象に、移行経路を加速させることを目的としており、エンゲージメント後に進展が見られない企業は、ダイベストメントの対象として検討される。

【参照ページ】
(原文)How Fidelity plans to get to net zero
(日本語訳)Fidelity International、2030年までにポートフォリオの排出量半減目標と新しい気候変動投資方針を発表

関連記事

“CSAセミナー"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    2025-4-1

    ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のオムニバス草案が提出され、欧州の開示規則が変わる中、20…
  2. ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    2025-3-31

    ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-3-27

    【GPIF発表】「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」選定結果

    3月11日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る