Race to Zero報告書:気候変動に関する目標を達成するためには、森林破壊に対する企業の緊急行動が必要

6月、国連が支援するRace to Zeroが発表した新しい報告書によると、世界の気候変動目標を達成するためには、森林破壊に対する企業の環境行動を大幅かつ直ちに増加させる必要がある。

報告書「Why Net Zero Needs Deforestation Now」によると、土地に根ざしたバリューチェーンを持つ企業、特に森林、土地、農業部門に起因する森林破壊は、世界の温室効果ガス(GHG)排出の22%を占めており、その半分は森林破壊が原因だという。

森林・土地・農業セクターの企業による気候変動への影響への取り組みが増え、「2050年までにネット・ゼロ」の誓約が過去2年間で5倍も増えている一方で、森林破壊への取り組みに重要とみなされる企業の58%が、まだネット・ゼロ目標を設定していない。

報告書の発表に伴う声明の中で、Race to Zeroは、Nestlé、PepsiCo Inc.、Unilever、Mars、Colgate-Palmolive、紙・パルプメーカーのSuzanoなど、森林破壊への取り組みで大きな前進を遂げている数社を紹介している。

しかし、土地利用セクターの企業の大半は、排出削減目標が未達成となるリスクがある。ネット・ゼロ目標を設定している企業でも、森林破壊への取り組みは遅れており、ネット・ゼロを約束した企業のうち、強い進捗があったと評価されたのは6%以下だった。

本報告書は、グローバル・キャノピー、サイエンス・ベース・ターゲット・イニシアチブ(SBTi)、アカウンタビリティ・フレームワーク・イニシアチブ(AFI)など、気候変動や森林破壊に焦点を当てた組織とのパートナーシップにより作成された。AFIの最近の調査結果によると、温暖化を1.5℃に抑えるという目標を守るためには、2025年までに商品主導型の土地開拓の大部分を中止する必要があり、森林減少に対する行動の加速化が緊急に求められている。

【参照ページ】
(原文)WHY NET ZERO NEEDS ZERO DEFORESTATION NOW

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESGセミナー・イベント一覧(2024年11月以降)

    2024-11-18

    ESGセミナー・イベント一覧(2024年11月以降)

    サステナビリティを推進には新しい知見の収集が必須。しかし、必要なセミナー情報を見つけるのに時間がか…
  2. ISSA5000とサステナビリティ保証:企業が今すぐ始めるべき対応ポイント

    2024-11-18

    ISSA5000とサステナビリティ保証:企業が今すぐ始めるべき対応ポイント(再掲)

    サステナビリティ情報、非財務情報、ESGデータなど企業のサステナビリティの取り組みを示す情報は、投…
  3. 2024-11-15

    【PR】12/3 記念イベントESG評価スコア改善『S&Pに聞く!2025年に向けたCSA徹底解剖』 (オンライン)

    いつもESG Journal Japanをご覧いただきましてありがとうございます。 ESG評…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る