
10月10日、農林水産省は、令和7年産の水田における作付状況(9月15日時点)を発表した。主食用米の作付面積は前年(令和6年産)の125.9万ヘクタールから約10.8万ヘクタール増加し、136.7万ヘクタールとなった。近年続いていた米の減反傾向に一服感が見られ、全国的に主食用米の作付が回復傾向にある。
一方で、飼料用米や麦、大豆など、政府が推進してきた「戦略作物等」の作付面積はすべての品目で減少した。加工用米や飼料用稲などの新規需要向け作物の減少も目立ち、全体の戦略作物等合計面積は前年より約9.5万ヘクタール減の38.8万ヘクタールにとどまった。これに伴い、畑地化面積も0.8万ヘクタールにとどまり、転作による水田の多様化が伸び悩んでいる。
地域別では、北海道や東北地方を中心に主食用米の増加が顕著。新潟県や秋田県、宮城県などでも前年を上回る作付が見られた。一方、西日本の一部地域では依然として作物転換の取り組みが進むものの、コスト上昇や市場価格の不安定さが影響しているとみられる。
農水省によると、今回の主食用米の増加には、令和6年産での供給不足や需給改善に向けた生産調整の緩和が背景にあるという。しかし、米の国内需要は長期的に減少傾向にあり、資料によれば令和16(2004)年の需要実績約865万トンから、令和6(2024)年には710万トン台にまで落ち込んでいる。
このため、今後は需要に即した生産調整や高付加価値作物への転換、海外輸出の拡大などが引き続き課題となる。
政府は、気候変動対策やフードロス削減といったESG目標との整合を図りながら、持続可能な水田農業の確立を目指す方針だ。来年度には、再生可能エネルギー導入を組み合わせた「低炭素型稲作モデル」の実証も予定されており、環境と経済の両立が試される局面に入っている。
















