
10月20日、温室効果ガス(GHG)排出会計の国際基準を策定するGHGプロトコルは、Scope2基準および電力セクター向けの「Consequential Accounting」手法の改訂に向け、60日間のパブリックコンサルテーションを開始したと発表した。期間は2025年10月20日から12月19日までで、すべての利害関係者が意見を提出できる。協議は、標準開発・改訂手続きに基づく正式なプロセスの一環として行われるもので、国際的な排出量報告制度の信頼性向上を目的としている。
今回の協議は二つのテーマに分かれる。ひとつは2015年版Scope2ガイダンスの改訂であり、企業の電力使用に関する排出会計を現行の市場構造に適合させることを狙う。もうひとつは、電力セクターの施策によって回避される排出量を推計する「Consequential Methods」に関するもので、企業活動の外部的な排出削減効果を測定する新しい枠組みを検討する。両テーマに関する概要資料およびオンライン調査フォームが、GHGプロトコルの特設ページで公開されている。
意見提出プロセスは、外部関係者による資料の閲覧・フィードバック提出に始まり、GHGプロトコル事務局と技術作業部会(TWG)による分析・再検討を経て、最終的に独立標準委員会(ISB)と運営委員会(SC)の承認を受けて公表される流れとなる。Scope2基準の改訂版は2026年に第二回協議を経て、2027年に正式発行される予定だ。
GHGプロトコルは2004年の企業基準をはじめ、Scope1~3のガイドラインを通じて世界中の企業・自治体・投資家の排出会計を支えてきた。現在では、同プロトコルを採用する企業が全世界の時価総額の9割近くを占めるとされる。今回の公開協議は、急速に変化するエネルギー市場と開示要求に対応し、会計基準の透明性・実用性を高める試みとして注目されている。
(関連オリジナル記事)GHGプロトコルの改訂とは?カーボンニュートラル実現への新たな方向性
(原文)GHG Protocol Public Consultations Now Open: Scope 2 and Electricity Sector Consequential Accounting
(日本語参考訳)GHGプロトコルに関するパブリックコメント募集開始:スコープ2および電力セクターの算定結果
















