バイデン大統領、2035年の気候目標を発表

12月19日、バイデン大統領は、2035年までに温室効果ガス排出量を2005年比で61~66%削減するという新たな国家決定貢献(NDC)を発表した。本目標は、米国が2050年までに経済全体で温室効果ガス排出量をネット・ゼロにするための重要なステップとなる。本発表は、パリ協定へのコミットメントを再確認し、クリーンエネルギー経済における米国のリーダーシップを確固たるものにするものである。

画期的な投資と政策で目指すクリーンエネルギー社会

この戦略には、以下の要素が含まれる。

  • インフレ削減法と超党派インフラ整備法による巨額投資の活用
  • 地域、州、部族政府との調整を通じた包括的アプローチ
  • メタン排出量を2005年比で35%削減する追加目標

バイデン政権は、すでに4500億ドル以上の民間投資を引き出しており、これらの資金は国内の製造業やクリーンエネルギープロジェクトに活用されている。

地域経済への恩恵:州別投資事例

各州でも、この気候アジェンダを活用した大規模な雇用創出と投資が進んでいる。

  • アリゾナ州:37万人の雇用創出と1200億ドルの投資
  • カリフォルニア州:200万人の雇用創出とリチウムバッテリー製造に40億ドルを投入
  • ジョージア州:50万人の雇用創出と400億ドルの投資

クリーンエネルギー革命がもたらす未来

過去4年間で、クリーンエネルギー技術のコストが急激に下がった。公益規模の太陽光発電と風力発電のコストは、それぞれ1メガワット時あたり29ドル、27ドルと、化石燃料と競争できるレベルに達している。バイデン政権の政策は、これらの技術進歩を活用し、米国の消費者と労働者に利益をもたらすことを目指している。

バイデン政権の展望:公正で持続可能な未来へ

今回の2035年目標は、高賃金の労働組合雇用の創出、全米の地域社会の健康と安全の向上、そしてすべてのアメリカ人のコスト削減に焦点を当てている。この道筋を通じて、米国はより強力で公正な経済を築きながら、クリーンエネルギー分野の世界的なリーダーとしての地位を確立することを目指す。

バイデン大統領の発表は、クリーンエネルギー革命が不可逆的であることを示しており、米国が気候変動問題において次世代のリーダーシップを取る姿勢を鮮明にした。

【参照ページ】
(原文)FACT SHEET: President Biden Sets 2035 Climate Target Aimed at Creating Good-Paying Union Jobs, Reducing Costs for All Americans, and Securing U.S. Leadership in the Clean Energy Economy of the Future
(日本語参考訳)ファクトシート:バイデン大統領、2035年の気候変動目標を設定 賃金の高い労働組合の雇用創出、すべてのアメリカ人のコスト削減、未来のクリーン・エネルギー経済における米国のリーダーシップ確保を目指す

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…
  3. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…

ピックアップ記事

  1. サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025-8-22

    サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025年8月8日、金融庁は、「2027年版EDINETタクソノミの開発案」を公表した。これは、I…
  2. 2025-8-19

    PR【対談&ワークショップ】第一生命が語る「ESG開示」と「企業価値向上」

    毎回満員御礼でご好評をいただいているESG Journal 会員向けのESG Journal …
  3. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る