4月25日、英国政府は、2030年までに英国のジェット燃料ミックスに少なくとも10%の持続可能な航空燃料(SAF)を義務付ける目標を確認したと発表した。
燃料は航空部門の排出量の大部分を占める。一般的に、廃油や農業残渣などの持続可能な資源から製造されるSAFは、近い将来から中期的に航空業界の脱炭素化を支援する重要な手段のひとつと考えられている。SAFの生産者は、この燃料は従来の燃料に比べてライフサイクル温室効果ガス排出量を85%も削減できると見積もっている。
しかし、航空会社によるSAFの利用を大幅に増やす努力は、現在市場に出回っている供給量の少なさや、従来の化石燃料をはるかに上回る価格など、大きな課題に直面している。世界的に見て、SAFは現在ジェット燃料の0.1%未満である。
英国の新たな発表は、政府の持続可能な航空燃料の義務化の一環であり、議会の承認を経て2025年1月に発効する予定である。この義務化は、2050年までに航空機セクターの排出量をネット・ゼロにするための「ジェット・ゼロ」戦略を2022年に政府が発表したことを受けたもので、SAFの需給促進、航空機・空港・空域の効率改善、排出量ゼロ航空機の開発支援、残留排出量を相殺するための炭素市場や排出量除去技術の開発など、優先行動分野を特定している。
英国運輸省によると、政府の目標では、毎年約120万トンのSAFが英国の航空業界に供給され、SAF産業は18億ポンド(約3,549億円)以上の経済効果をもたらし、1万人以上の雇用を創出すると見積もられている。
計画の下でのSAFの中間および長期目標には、2025年の燃料ミックスにおけるSAFの2%、2040年の22%が含まれている。
政府は、その計画が消費者を犠牲にすることのないよう、価格管理を支援し、旅客のチケット運賃への影響を最小限に抑えるための見直しメカニズムを計画に盛り込むことを目指すと付け加えた。
新たな義務付けに加え、政府は、SAFからの収入を保証し、生産者や投資家に業界への投資に対する自信を提供することを目的とした、SAF収入確実性スキームに関する様々なオプションのコンサルテーションを開始することも発表した。
【参照ページ】
(原文)Supporting the transition to Jet Zero: Creating the UK SAF Mandate