EU、排出権取引の収益3,000億円以上をクリーンエネルギー・インフラ・プロジェクトに投資

EU、排出権取引の収益3,000億円以上をクリーンエネルギー・インフラ・プロジェクトに投資

12月20日、欧州委員会は、低所得国のクリーンエネルギー・プロジェクトに22億ユーロ(約3,400億円)を投資すると発表した。

プロジェクトに対する配分は、EUの近代化基金を通じて行われた。2018年に開始され、2021年に払い出しが開始される本基金は、ブルガリア、クロアチア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキアを含む、所得の低いEU加盟10カ国において、EU ETSの収入を利用して、エネルギーシステムの近代化とエネルギー効率の改善を支援するために設計された。

新たな割り当てにより、2023年6月に発表された25億ユーロ(約3,900億円)を含め、近代化基金のこれまでの支出額は97億ユーロ(約1.5兆円)に上った。2023年のプログラムは47億ユーロとなり、50のプロジェクトを支援することになる。

ルーマニアとチェコが2023年のプログラムの最大の受益国で、それぞれ22億ユーロと18億ユーロが割り当てられ、ルーマニアでは再生可能な電力生産、電力網の近代化、鉄道車両の近代化、石炭火力発電の代替を促進するガスインフラなどのプロジェクトに、チェコでは公共建築物のエネルギー基準引き上げと石炭からガスへの地域暖房転換の達成に充てられた。

2005年に創設された欧州排出量取引制度は、発電・熱供給、石油精製、鉄鋼、セメント、製紙、化学、民間航空など、温室効果ガスを大量に排出する主要セクターの炭素排出量に価格をつけるものである。今年初め、EUの議員たちは、EU ETSの対象範囲を拡大し、対象セクターに要求される直接排出削減量を引き上げ、新たなセクターにも制度を拡大することに合意した。EU ETSは現在、2020年から2030年にかけて約400億ユーロ(約6兆円)の収入を生み出すと予想されている。

改正後のETSでは、近代化基金が新たにギリシャ、ポルトガル、スロベニアの3カ国に拡大される。

【参照ページ】
EU invests an additional €2 billion of emissions trading revenues in clean energy infrastructure projects in Member States via the Modernisation Fund

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. 2025-7-1

    カナダ年金基金、2030年までに4,000億ドルの気候投資

    6月19日、カナダの大手機関投資家であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、2050年ネットゼロ…
  3. 2025-7-1

    GRI、サステナビリティ報告のデジタル化を促進する新「サステナビリティ・タクソノミー」を発表

    6月19日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新たに「GRI S…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る