11月16日、世界保健機関(WHO)は、たばこ産業およびたばこ製品から若者を守るための重要な取り組みとして、たばこ産業による保健政策への干渉に終止符を打つよう呼びかけるキャンペーン「Stop the lies」を正式に開始した。
本キャンペーンは、STOPとGlobal Center for Good Governance in Tobacco Control(GGTC)が発表した「世界たばこ産業干渉指数2023(GGTI)」から得られた新たな証拠に裏打ちされたもの。
GTIIは、政府を裁判に訴えたり、たばこ規制政策に影響を与えるために金銭的・現物的インセンティブを提供したりすることで、人々の健康を守る各国の権利を妨害しようとしているたばこ産業の実態を明示。WHOは、たばこ産業の妨害に対し、エビデンスに基づくたばこ規制策を擁護する国々を支援する。
本キャンペーンでは、たばこ産業の政策介入の手口として主に以下5つを紹介した。
- たばこ規制政策に反対するロビー活動を行うフロントグループへの資金提供
- ソーシャルメディアのインフルエンサーやイベントのスポンサーへの資金提供
- スポンサー付きイベントへの資金提供
- 科学者や偏った研究者への資金提供
- 実態にそぐわない企業の社会的責任イニシアティブの支援
WHOは、たばこ産業が弱者、特に若者に自社製品を売り込もうとしていることに対し、たばこ産業の影響力に断固として立ち向かうよう政策立案者への呼びかけにコミットする。たばこ規制枠組条約の締約国は183カ国あり、世界保健条約の下でこのような取り組みを行うことを約束している。
現時点で、全ガンの25%がたばこによって引き起こされ、毎年800万人以上が死亡している。たばこ利用者の半数が早死にする中、たばこおよびニコチン市場は、若年利用者の新規獲得に大きく依存しており、たばこ産業は若年層の信頼と関心を得るために複数の戦術を採用している。
WHOは、本キャンペーンで主に以下4つのアクションを提示した。
- たばこ業界のインフォデミックに対抗し、タバコ業界が子どもや若者をターゲットにし続けているかを政策決定者に提示
- たばこ産業の干渉から健康政策立案を守るよう政府に要請し、将来の世代を保護
- たばこ産業が世論や政策に影響を与えるために用いている様々な手口についての認知を拡大
- たばこ産業から青少年を守るために、青少年からの呼びかけを増大
【参照ページ】
(原文)New WHO campaign highlights tobacco industry tactics to influence public health policies
(日本語参考訳)WHO、反たばこキャンペーン開始。保健政策への干渉を阻止