12月6日、シンガポールの中央銀行であり金融規制当局であるシンガポール金融管理局(MAS)は、ESG格付けとデータの透明性、比較可能性、信頼性を高めることを目的とした一連の原則を導入した「ESG格付け・データ商品プロバイダーの行動規範(COC)」の最終版を発表した。
本行動規範と、ESG格付・データプロバイダーがCOCに準拠していることを証明するための付随するチェックリストは、プロバイダーに対して「コンプライオアエクスプレイン(遵守するか、説明するか)」というアプローチを用いて、自主的に展開される。
本行動規範は、投資家がESGを考慮した投資を行うようになるにつれ、ESG格付やデータのプロバイダーに対する規制の圧力が高まっていることを背景としている。
2021年11月、証券規制当局の基準設定機関であるIOSCOは、ESG格付けとデータ分野の透明性向上に焦点を当て、規制監督を適用し始めるよう規制当局に促した。IOSCOはまた、プロバイダーに対し、潜在的な利益相反の特定と開示、プロバイダーが使用するデータと手法の検討などを求めるなど、規制当局への一連の勧告を行った。MASは、新しいCOCはIOSCOの勧告を基礎としていると述べた。
IOSCOが勧告を発表して以来、英国やEUの規制当局を含め、いくつかの国・地域がこのセクターのルール制定に動いている。
COCに概説されているプロバイダーの主要原則には、 格付けやデータ商品がすべての関連情報の徹底的な分析に基づいていることを保証する文書化された方針と手続きの採用、 商品に使用される手法やデータ・ソースに関する透明性の提供、 独立性の確保、潜在的な利益相反の特定・回避・管理・開示のための方針などが含まれる。
本発表と同時に、規制当局はESG格付やデータ・プロバイダーに対し、COCの採用を開示し、12ヶ月以内に完成したチェックリストを公表するよう促していると述べた。
【参照ページ】
(原文)MAS Publishes Code of Conduct for Providers of Environmental, Social, and Governance (“ESG”) Rating and Data Products
(日本語参考訳)MAS、ESG格付けおよびデータ提供者に対する行動規範の最終版を発表