TPI、企業の気候変動に関する移行計画を評価するセクター別フレームワークを開始

TPI、企業の気候変動に関する移行計画を評価するセクター別フレームワークを開始

2月9日、Transition Pathway Initiative(TPI)は、高排出量分野における企業の気候目標を投資家が評価するための詳細なフレームワークである、「TPI Sectoral Decarbonisation Pathways」 を発表した。TPIの移行計画は、投資家エンゲージメントネットワーク「Climate Action 100+」や、主要な資産運用会社やオーナーが利用している。

2017年に設立された Transition Pathway Initiative は、アセットオーナーが主導し、資産運用会社が支援するグローバルな取り組みであり、低炭素経済への移行に向けた企業の準備状況を評価や気候変動に対応する取り組みを支援するイニシアティブだ。TPIは、投資家が自らのポートフォリオとパリ協定の目標との整合性を評価し、現実の排出削減を促進するための独立した調査を提供する。TPIは、40兆ドル以上の資産を運用・助言する120の投資家によって支えられている。

この新しいフレームワークは、電力、石油・ガス、アルミニウム、セメント、多角的鉱業、製紙、鉄鋼、自動車、航空、船舶など、エネルギー、産業、運輸の各セクターにまたがる産業を対象としている。また、セクターごとの予算を作成するために経済全体の排出量予算のアプローチを利用して各セクターを評価し、それぞれ固有の課題、排出量が集中している場所、削減のためのコストがどの程度かかるかを考慮している。各セクターについて、1.5℃、2℃以下、国家公約との整合性に関するIEAシナリオに基づき、3つの移行計画を概説している。例えば、航空業界では、排出原単位の主要な指標として、従来のジェット燃料からのTTW(Tank-to-Wheel)CO2排出量を目標とし、1.5℃シナリオに合わせるために、企業が2030年までに 616 tonnes of CO2/revenue tonne kilometre 未満を達成するための基準を定めている。

【参照ページ】
TPI PUBLISHES CONSOLIDATED REPORT CONTAINING DECARBONISATION PATHWAYS FOR ALL HIGH- EMITTING SECTORS

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. 2025-7-10

    EUタクソノミーの簡素化で企業の負担軽減へ―欧州委、報告義務緩和を採択

    7月4日、欧州委員会は、EU共通の分類基準であるEUタクソノミーに関する一連の簡素化措置を採択した…
  3. 2025-7-9

    ISSB、SASB基準の包括的見直し案を公表

    7月3日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、SASB基準の改訂案およびIFRS S2実…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る