11月20日、世界保健機関(WHO)は、精神・神経・物質使用(MNS)障害の治療とケアに関する重要な勧告を新たに盛り込んだ、メンタルヘルス・ギャップ・アクション・プログラム(mhGAP)ガイドラインの第3版を発表した。
MNS障害は、世界のあらゆる地域において、罹患率と早期死亡の主な原因となっている。しかし、MNS障害を持つ人々の75%以上が、必要な治療やケアを受けることができないと推定されている。
mhGAPガイドラインは、増加するMNS疾患の負担に対処する能力を強化するために、各国を支援するものである。本ガイドラインは、医師、看護師、プライマリーヘルスケアレベルの非専門的な環境で働くその他の医療従事者、保健計画者や管理者の使用を目的としている。
2023年ガイドライン更新版には、既存の90の勧告に加え、MNS疾患に関連する30の更新勧告と18の新規勧告が含まれている。
本ガイドラインは、世界で最も一般的な精神疾患のひとつである不安障害の患者数の増加を反映し、不安障害に関する新しいモジュールを含んでいる。このモジュールには以下の勧告が含まれている。
- 全般性不安障害およびパニック障害の成人には、認知行動療法(CBT)に基づく心理学的介入を行うべきである。これらの介入は、オンライン、対面、グループ、自己指導などさまざまな形式で行うことができる。
- 全般性不安障害およびパニック障害の成人には、ストレス管理技術を考慮すべきである。
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、全般性不安障害および/またはパニック障害の成人の治療に考慮すべきである。
- 心理学的および心理社会的介入
mhGAPガイドラインは、精神病または双極性障害の患者の介護者に対する心理社会的介入に関する勧告を追加した。また、精神病、アルコール依存、薬物使用、認知症、自閉症、ADHD、脳性麻痺を含む神経発達障害の小児および青年に対する心理社会的介入に関する新たな内容も記載した。
さらに、妊娠希望者に対しては、バルプロ酸(バルプロ酸ナトリウム)を使用しないよう勧告した。てんかんおよび双極性障害の治療薬であるバルプロ酸(バルプロ酸ナトリウム)について、妊娠中に服用すると先天異常のリスクがある。
【参照ページ】
(原文)WHO issues new and updated recommendations on treatment of mental, neurological and substance use conditions
(日本語参考訳)WHO、mhGAPガイドライン第3版を発表。各メンタルヘルス分野の治療とケアに関する勧告