10月2日、企業の国連持続可能な開発目標(SDGs)推進国際NGOのWorld Benchmarking Alliance(WBA)は、世界の主要食品・農業企業350社を評価したランキング「自然ベンチマーク(Nature Benchmark)」を発表した。対象企業の大半が、サステナビリティに向けた取り組みが欠如していることを明らかにした。
WBAは、バイエル、ユニリーバ、ウォルマートを含む、世界で最も影響力のある350の食品・農業企業を分析した。各企業は、自然や環境に与える影響をどのように管理し、食品の健康性を向上させ、適正な労働条件を提供しているかでランク付けされた。評価メソドロジー開発では、科学的根拠に基づく目標ネットワーク(SBTN)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)、持続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)、世界自然保護基金(WWF)GRIが参画した。
ランキングは、1位ネスレ、2位ユニリーバ、3位ダノン、4位バイエル、5位ジボダンとなった。日本企業は、味の素12位、明治ホールディングス21位、キリンホールディングス27位がランクインしている。
本ランキングによって、生態系の転換をゼロにするというコミットメントを掲げている企業はわずか15%、森林破壊を完全になくすという期限付きのコミットメントを掲げている企業はわずか6%しかないことが判明。自然に対するより広範な影響を理解している企業に関しては、わずか2%しかない。
また、評価対象となった350社は、コーヒー、ココア、パーム油などの食料品を、40の中低所得国に拠点を置く約7,500万人の小規模生産者から調達している。これらの国々のほとんどは、根強い貧困の影響を受けているが、生活所得ベンチマークの特定や生活所得ギャップの計算に取り組む企業は13社(4%)にすぎない。
WBAは、食品・農業セクターのパフォーマンスを向上させることは、自然の保護と回復、人々の健康と福祉への貢献、貧困からの脱却など、大きな波及効果をもたらす可能性があるとして、食品・農業企業に迅速な行動を求めている。
【参照ページ】
(原文)Research finds more than 90% of food and agriculture companies don’t do enough to farm sustainably or provide healthy food
(日本語参考訳)WBA、「自然ベンチマーク」発表。食品・農業大手350社の90%以上が取り組み欠如