10月3日、エネルギー大手のOccidentalとアブダビを拠点とするADNOCは、アラブ首長国連邦(UAE)に年産100万トンの直接空気回収(DAC)施設を新設するための実現可能性評価を目的としたエンジニアリング・スタディの開始で新たに合意した。
同施設は、世界最大級のDACプロジェクトであると同時に、米国外初のメガトン級DAC施設となる。
今回の合意は、米国とアラブ首長国連邦で炭素回収・利用・貯留(CCUS)プロジェクトを共同で検討するために両社が8月に交わした覚書に続くものである。
DAC技術は、IEAがネット・ゼロ・エネルギー・システムへの移行における重要な炭素除去オプションとして挙げているもので、大気中から二酸化炭素を直接抽出し、原料としての利用や、貯蔵と組み合わせた永久的な除去を可能にする。昨年発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオには、今後数十年にわたって年間数十億トンに拡大する二酸化炭素除去方法が含まれており、DACはその大部分を占める可能性がある。
DACを含め、二酸化炭素を回収・貯蔵するソリューションのほとんどは初期段階にあり、現在のところ規模は限られている。Oxyの炭素回収に特化した子会社である1PointFiveは現在、テキサス州エクター郡にDACプラント「Stratos」を建設中で、完全稼動時には年間50万トンのCO2を回収するよう設計されており、現在までに世界最大のDAC施設になると見込んでいる。
新しい契約により、OxyとADNOCは、テキサス州を拠点とするプロジェクトと同じCO2抽出技術を使用する新しいメガトン規模の施設の実現可能性を研究することになる。Stratosは、カナダに本拠を置くCarbon Engineeringが開発したDAC技術を使用しており、大気中の空気を取り込み、一連の化学反応によって二酸化炭素を抽出し、それを濃縮、精製、圧縮して永久貯蔵または利用する。Oxyは8月、Carbon Engineeringを11億ドル(約1,640億円)で買収することで合意したと発表した。
新プロジェクトが承認された場合、新DAC施設で抽出されたCO2は、ADNOCのCO2インフラに接続され、石油・ガス生産に使用されていない塩水貯留層に注入・永久貯蔵される予定だと両社は述べている。
【参照ページ】
(原文)Occidental and ADNOC to commence preliminary engineering study of a Direct Air Capture facility in the UAE
(日本語参考訳)OxyとADNOC、UAEでメガトン規模の炭素回収施設の可能性で提携