EU理事会と欧州議会、水銀の全廃で合意

2月8日、欧州理事会と欧州議会は、歯科用アマルガムの使用を段階的に廃止し、特定のランプを含む多くの水銀添加製品の製造、輸出入を禁止する提案について、暫定的な政治合意に達した。本提案は、水銀のない欧州の確立を目指し、EU域内の製品に残存する水銀の使用に対処するもの。今後、両機関による正式な採択が待たれる。

水銀が環境中に放出されると、肺、脳、腎臓に深刻な危険を及ぼす可能性がある。EUのこれまでの政策は、この猛毒の化学物質の使用と暴露を大幅に削減するのに役立ってきた。本合意により、EUでの水銀フリーに向け、残りの水銀使用量の削減を目指す。

現行の規則では、15歳未満の小児および妊娠中または授乳中の女性の歯の治療に歯科用アマルガムを使用することはすでに禁止されているが、今回の改正により、禁止措置がEU内のすべての人に拡大される。患者の特定の医療ニーズに対応するために歯科医師が歯科アマルガムの使用が厳密に必要であると判断した場合を除き、欧州委員会が提案したEU域内における全廃の期日である2025年1月1日を維持。ただし、低所得者層が社会経済的に不釣り合いな影響を受ける加盟国に対しては、18ヶ月の緩和措置を導入した。改正規則の発効から1ヵ月後までに、これらの加盟国は、適用除外の利用を十分に正当化し、2026年6月30日までに段階的廃止を達成するために実施する措置を欧州委員会に通知しなければならない。

EU理事会および欧州議会は、欧州委員会が提案した2025年1月1日からの歯科用アマルガムの輸出禁止を維持する一方で、2026年6月30日からEU域内での製造および輸入を禁止することで合意した。改正案では、特定の医療上の必要性がある患者に使用される歯科用アマルガムの輸入と製造を許可する免除規定が設けられている。歯科用アマルガムの使用に関する適用除外の全般的な見直しは、水銀を含まない代替品の入手可能性を考慮し、2029年12月31日までに欧州委員会により行われる。

さらに、火葬場による大気中への水銀の放出にも対処する。2029年12月31日までに、欧州委員会は、火葬場からの排出を削減する方法に関する加盟国のガイドラインの実施とその影響に関するレビューを実施する。見直しには、残存する水銀の使用を段階的に廃止し、水銀廃棄物発生源のリストを拡大する必要性の評価も含まれるべきとした。

【参照ページ】
(原文)Mercury: Council and Parliament strike a deal to completely phase out mercury in the EU
(日本語参考訳)EU理事会と欧州議会、水銀の全廃で合意

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