EU、農業分野のサステナビリティ合意に関する競争法ガイドラインを採択

12月7日、欧州委員会は、EU共通農業政策(CAP)に導入されたEU競争規則の除外規定に関連して、農業分野におけるサステナビリティ合意のためのガイドラインを採択した。これにより、競争法上の合法ラインが明確にされ、農業における共同イニシアティブの設計が容易になる。ガイドラインはEU官報に掲載された後、即座に発効する。

ガイドラインの主なポイントは以下の通りである。

  1. 競争法の適用範囲と対象
    • 競争法の適用が免除されるには、農業生産者が必ず含まれた合意である必要があり、合意は農作物に関するものである必要がある。
  2. サステナビリティ分野の限定
    • サステナビリティ合意は、「環境保護」「農薬使用と薬剤耐性(AMR)の削減」「動物福祉と健康」の3つの特定のカテゴリーに限定される。
  3. 水準の設定
    • サステナビリティ分野で合意する事項は、EU法または国内法で義務付けられている水準よりもわずかでも高い水準を採用する必要があり、目指す水準の達成に不可欠である必要がある。
  4. 競争法当局の介入
    • EU加盟国の競争法当局は、サステナビリティ合意が不合理な消費者価格上昇や市場からの排除につながる場合、介入し、合意の停止や修正を要求することができる。

ガイドラインの導入により、農業関連のサステナビリティ合意が適切に設計され、競争法に適合するようになる。これにより、農業分野での協業がサポートされ、サステナビリティの推進が促進されることが期待される。

【参照ページ】
(原文)Commission adopts antitrust Guidelines for sustainability agreements in agriculture

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る