フランス、2030年までに排出量を55%削減する計画を発表

9月25日、エマニュエル・マクロン仏大統領は、EUの気候変動に関する暫定目標に沿って、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を1990年比で55%削減するという「エコロジー計画」を発表した。

大統領の発表によると、2030年の目標を達成するためには、GHG排出削減の進捗を、2030年までは毎年5%まで加速させる必要がある。過去5年間は毎年2%程度であった。

そのため、2023年には30億ユーロ(約4,700億円)であった気候変動に焦点を当てた投資を、来年には100億ユーロ(約1.6兆円)へと大幅に拡大する計画が盛り込まれている。同計画で詳述されている主な投資分野には、建築物のエネルギー効率の向上、水素や再生可能天然ガスを含むエネルギー技術の開発、天然資源、農業、林業などが含まれる。

同計画はまた、洋上風力発電所の開発、2027年までに100万台の電気自動車の生産、フランス北部に4つのバッテリー工場の開設、大都市周辺の通勤列車プロジェクトへの7億ユーロ(約1千億円)の投資など、クリーンモビリティと再生可能エネルギーの促進も目指している。

同計画の重点分野のひとつは、化石燃料への依存度の削減である。マクロン大統領は、国内最後の石炭火力発電所を2027年までに閉鎖し、バイオマスエネルギー発電所に転換すると発表した。

マクロン大統領によると、同計画は全面的な禁止ではなく、よりクリーンな技術にインセンティブを与えることに重点を置き、電気自動車への切り替えやヒートポンプの設置にインセンティブを導入する計画だという。

マクロン大統領はまた、フランスの産業界トップの汚染企業50社から、2030年までにCO2排出量を45%削減するという誓約を得たと述べた。

【参照ページ】
(原文)Macron launches ‘ecological plan’ to cut France’s dependency on fossil fuels
(日本語参考訳)フランス、2030年までに排出量を55%削減する計画を発表

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る