9月5日、国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは、G20加盟国の大半は、自然関連の企業情報開示に関する方針を未だ限定的、あるいは全く持っていないとする新たな調査結果を発表した。
本発表では、COP15において、「昆明-モントリオール生物多様性枠組」のターゲット15を通じて、遅くとも2030年までに、企業や金融機関が生物多様性に関するリスクや依存関係、影響を開示することを義務付けるというコミットメントが、20カ国中19カ国を含むG20メンバーによってなされたにもかかわらず、制度化が遅れていることを指摘した。CDPの調査によれば、生物多様性に関する開示要件を実施している、または実施過程にあるのは、ブラジル、EU、インドネシアのみ。水関連の要求事項の進捗はより進んでいるものの、G20加盟国のうち、未だ40%(8カ国)しか政策を導入していない。
最もインパクトのある政策を策定する政府や規制当局を支援するため、CDPは質の高い義務的情報開示(HQMD)のための10原則を策定し、G20の規制当局にその採用を求めている。本原則は、政策立案者が環境に対する総合的なアプローチの欠如、対象企業の狭さ、移行計画の盛り込みなど、現行の規制アプローチにおける主要なギャップに対処するための支援となる。CDPのHQMD原則は、WWF、ビジネス・フォー・ネイチャー、クライアントアース、国際金融公社(IFC)などの組織と協議して共同作成された。
CDPのデータは、包括的な情報開示義務要件の必要性を示している。2022年にCDPを通じて気候変動に関するデータを開示した企業は世界で18,700社を超えたが、生物多様性に関する情報を開示した企業はその半数以下の8,700社、水の安全保障に関する情報を開示した企業は4,000社弱にとどまった。COP15を前に、400以上の企業や金融機関が自然に関する情報開示の義務化を求めている。
CDPは、気候変動関連の財務情報開示に関する規制は、G20全体で急速に標準化されつつあるものの、G20の国・地域によっては、その範囲にまだ不十分な点があると指摘。スコープ3排出量や科学的根拠に沿った信頼できる移行計画など、企業のネット・ゼロ達成に向けた重要な側面が無視されている規制もあることを明らかにした。
【参照ページ】
(原文)Majority of G20 countries lack policies on nature-related disclosure, despite COP15 commitments
(日本語参考訳)CDP、自然関連の企業情報開示の遅れを指摘。G20に開示10原則を要請