7月24日、国際漁業NGOの海洋管理協議会(MSC)は、気候変動の加速に伴う海の温暖化に加え、北大西洋の記録的な猛暑が複合的に影響することで、北東大西洋の象徴的な遠洋魚種に重大な影響が及ぶ可能性があると警告した。
サバ、ニシン、ブルーホワイティング(プタスダラ)は、北大西洋の冷涼な海域に生息している。しかし、海の温暖化が産卵能力を制限し、水産物の供給と海洋生態系に大きな影響を与える可能性がある。
また、海水温の上昇は魚の北上にも影響を与える可能性があるため、各国政府が国境を越えて協力し、共有する魚類資源の効果的なモニタリングと管理を行うことが重要である。
英国、ノルウェー、EU、アイスランド、フェロー諸島、グリーンランド、ロシアなどの主要漁業国が、科学的助言に沿った総漁獲枠に合意できていないため、これらの魚種はすでに乱獲されている。政治的行き詰まりは、海水温の上昇によって魚類がさらに北上し、その分布パターンが変化していることと相まって、これらの重要な魚類資源の将来の健全性を危険にさらしている。
もし気候変動に配慮した漁業管理戦略に合意できなければ、魚の個体数への影響はさらに深刻なものになると予測。海洋熱波を含む海の温暖化によって、2005年から2015年の間に、ニシンの個体数は40%減少したという調査結果もある。
MSCは、もし現在の北大西洋海洋熱波が続けば、世界中の同様の海洋熱波の影響を繰り返す可能性があると懸念している。2011年の西オーストラリアと2014年から2016年のアメリカ西海岸の海洋熱波は、魚の個体数を激減させ、魚の資源回復のために漁業が3年以上閉鎖された。
エルニーニョ現象は、9月までに海洋の50%が熱波に見舞われると予測されており、すでに世界最大の遠洋漁業であるペルーのアンチョベタ漁業が今年の漁期を中止する原因となっている。
【参照ページ】
(原文)Warming seas in North East Atlantic could harm key fish stocks
(日本語訳)MSC、海の温暖化による魚類資源への悪影響を警告