7月10日、世界的なプロフェッショナルサービス企業であるデロイトの新たな調査において、ESGは世界中の調達責任者にとって重要な重点分野となっており、前回の2021年調査の7位から2位に上昇した。
デロイトは、本報告書「2023 Global Chief Procurement Officer Survey」のために、40カ国以上の約350人の調達リーダーを対象に調査を実施した。デロイトは2011年からグローバルCPO調査を実施している。
調達リーダーの間でESGの優先順位が高まっているのは、企業が様々なサステナビリティ要因の管理と報告を求める規制やステークホルダーからの圧力に世界的に直面しているためである。こうしたイニシアティブの焦点が、上流のサプライチェーンにおけるScope 3排出や人権などの要因をカバーする企業のバリューチェーンにますます向けられている。
例えば、EUが提案している企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)には、大企業に対し、バリューチェーンにおける人権や環境への悪影響を評価し、対処することを求める規則が含まれている。また、ISSBの新しいグローバル気候報告基準では、企業のバリューチェーン全体にわたる排出量の報告が求められる。
報告書は、サステナビリティアジェンダの推進における調達機能の重要な役割を指摘し、「調達が意思決定において積極的な影響力を発揮している分野のトップはESG(企業の85%)であり、次いで企業リスク管理とFP&A(約70%)である」と指摘している。
全体として、回答者の72%が企業の最優先課題として「ESG/CSRの強化」を挙げており、「業務効率の推進」の74%に次いで高く、「デジタルトランスフォーメーション」と同率だった。
本調査でCPOがターゲットとした主なESG要因としては、廃棄物削減と材料の循環性が72%、気候変動の緩和が62%で続いた。
ESGは調達担当者の優先事項のリストに上がる一方、サステナビリティ要因を定量化する取り組みはまだ初期段階にあることが示された。回答者の60%が、サプライヤーのサステナビリティを何らかのレベルで測定している、63%がESGの取り組みについてサプライヤーと協力していると回答しているが、一方で、半数をはるかに下回る40%が、自社の調達組織は、関連するESG要素を独自に定義したり測定したりしていないと回答している。
本調査では、CPOがESG関連投資に注力する主な分野も浮き彫りになっている。評価、可視化・報告プラットフォームの開発、サプライヤー投資ファンドやコンソーシアムの設立、中核的な人材・プロセス・コンサルティング・変革支援へのESGの組み込みなどが上位に挙げられている。
【参照ページ】
(原文)Deloitte’s 12th Annual Global Chief Procurement Officer Survey 2023: Leading CPOs Prioritize Creative Operating Model Setup, Talent Management and Digitization
(日本語参考訳)デロイト調査:ESG、調達担当役員の最優先課題第2位に