7月12日、世界的な鉱業・金属企業であるRio Tintoは、住友商事とのパートナーシップにより、オーストラリアのクイーンズランド州にあるヤーワン・アルミナ精錬所に、アルミナ製造における炭素集約度の削減を目的としたパイロットプラントを建設することを発表した。
ヤーワン水素脱炭酸パイロット実証プログラムは、脱炭酸工程における水素の利用可能性を実証することを目的としており、Rio Tintoの製油所において、天然ガスの代わりに水素が利用可能かどうかを検証する。
本プロジェクトは、アルミナ精製工程からの二酸化炭素排出量を削減するための1億1,100万豪ドル(約100億円)プログラムの一環である。両社は、オーストラリア政府のオーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)から3,200万豪ドル(約30億円)の共同出資を受け、プロジェクトを承認した。
水素は、よりクリーンなエネルギーへの移行において重要な構成要素のひとつであり、特に、風力や太陽光などの再生可能エネルギーが実用的でない、排出削減が困難なセクターにとって重要である。
Rio Tintoは、2025年までに温室効果ガス排出量を15%、2030年までに50%削減し、2050年までにネット・ゼロを達成するという気候変動目標を掲げている。同社の2022年版気候変動報告書によると、ボーキサイトとアルミナは、同社のスコープ1と2の排出量の20%以上を占めており、アルミナのプロセス熱の削減は、2030年の目標を達成するための同社の重要な重点分野のひとつに設定されている。
アルミナ精製工程の最終段階である脱炭酸工程では、水和アルミナを摂氏1,000度まで加熱し、アルミナに含まれる化学結合水を除去する。
ARENAによると、従来天然ガスで稼動していた焼成炉は、アルミナ精錬所からの温室効果ガス排出の約30%を占めている。
新プロジェクトは、天然ガスを水素で代替することにより、このプロセスからの排出を削減する。本プロジェクトでは、2.5MWのオンサイト電気分解機を含む水素プラントを製油所に建設し、アルミナ製油所からの温室効果ガス排出の約30%を占める水素を改修する。
電解槽は住友商事が所有・運営し、水素はRio Tintoに直接供給される。
本パイロット・プロジェクトは、年間約6,000トンのアルミナを生産する予定であり、成功すれば「世界規模で本技術を採用する道を開くことができる」と両社は述べている。また、工場全体をグリーン水素に転換することで、年間50万トンの排出量を削減できると付け加えた。
建設は2024年に開始され、新しい水素プラントと焼成炉は2025年に稼動する予定である。
【参照ページ】
(原文)Rio Tinto and Sumitomo to build Gladstone hydrogen pilot plant to trial lower-carbon alumina refining
(日本語参考訳)Rio Tintoと住友商事、天然ガスを水素に置き換えて低炭素アルミナを製造