エシカル消費には欠かせない認証ラベルおよび商品例一覧

近年エシカル消費に関連する認証ラベルや規格を取得する企業は、日本国内でも増えつつある。しかし、欧州を中心とする海外での取り組みと比較するとまだ多くはないのが現実である。認証ラベルは、消費者への商品訴求という側面だけでなく、サプライチェーンでのサステナビリティの向上という側面でも活用できる場合もある。
本記事では、認証ラベルが使われている商品の一覧を紹介するとともに、人気な認証ラベルの情報をまとめた。

認証ラベルとは

エシカル消費という言葉が社会的に認知されて以来、「エシカル消費」への要求は高まっている。エシカルな商品を選択する際には、産地や製造プロセスを確認することが重要だが、個人が判断することは難しい。しかし、認証ラベルがあれば参考情報になり、判断材料となる。認証ラベルとは、第三者機関が基準(安全性や品質など)を設け、その基準に適合しているかを審査の上、 認められた商品に付けられるラベルのことであり、様々な種類がある。

国際認証ラベルとは

国際認証ラベルとは、人や地域、社会、環境に配慮した製品であることを証明する国際的なラベルである。別名「サステナブルラベル」とも呼ばれる場合もあり、第三者機関が安全性や品質などに関する基準を設けて審査を行い、合格した商品のみに与えている。
審査を通過するためには、評価機関からの質問への回答や書類(データ類)の提出が必要なる。確かに、認証ラベルの取得だけのために、データ管理を実施するのは負担に感じる場合も多いだろう。しかし、認証ラベルの取得に際しての提供データの一部には、日常的に管理しているサステナビリティ情報と重なる部分もあるだろう。日頃から、データを一元的に管理できるような仕組みを構築していると負担の軽減を実現できる可能性はある。

国際認証ラベルが求められる背景

2015年に開催された国連総会にて、193カ国が賛同した国際目標であるSDGsの17の目標を達成するためには、個人の行動も重要だ。そして、個人が取り組みやすいアクションの1つとして、社会的課題の解決を考慮したり、課題に取り組む企業や団体を応援しながら消費活動を行ったりする「エシカル消費」が求められている。国際認証ラベルのついた製品の普及や適切な管理をする事業者が増えると、環境や社会に配慮していない不適切な製品が淘汰されていく可能性があり、目標の実現が達成されるだろう。

また、近年では、新しい開示基準においてサプライチェーンでのサステナビリティが求められている中、調達・原料の安全性やサステナビリティをを示す手段の一部として、ラベルの取得が活用できる場合もある。

参考:国際認証ラベル一覧と意味を解説!売っている場所も

国際認証ラベルと商品一覧

一般的に、認証ラベルは、企業の商品に付与される場合と企業自体に付与される場合がある。以下では、主に消費者向けの認証ラベルおよび商品を紹介する。取り扱う企業例もあるので、日本でのラベル取得の広がりについても参考にされたい。

商品やサービスに付与される国際認証ラベル

認証名とロゴ概要主な商品企業例
FSC認証ラベル森に生息する動植物や近隣に暮らす住民に配慮し、持続可能な森を維持できるように管理された場所で採れた木材であることを示すラベル。森林の管理を認証するFM認証と、加工・流通過程の管理を認証するCoC認証から成る。・製品のパッケージや容器・年賀はがき・生理用ナプキンやペット用シーツに使用される吸収材・飲食店で使用されている持ち帰り容器・製品の配送箱・鉛筆(色鉛筆・日本郵便株式会社・BRIO・王子ネピア株式会社・ハウス食品株式会社
【MSC認証ラベル】
別名「海のエコラベル」とも呼ばれている「MSC認証ラベル」は、水産資源と環境に配慮し、持続可能な方法で獲られた天然の水産物だということを証明するラベル。主に、水産物や水産物を使用した加工食品などについている。・魚やカニ、エビ、貝類などの水産物・イオントップバリュ株式会社・株式会社セブン&アイ・ホールディングス
国際フェアトレード認証ラベル】


国際フェアトレード認証ラベルは、製品に使用される原料の生産から輸出や輸入、加工、製造の過程で、国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベルである。・コーヒーや紅茶(ハーブティー)・チョコレート・コットン・スパイス・ごま・花・バナナ・ジャム・スポーツ用のボール・イオントップバリュ株式会社・加藤貿易株式会社
レインフォレスト・アライアンス認証マーク】
カエルのイラストが印象的なレインフォレスト・アライアンス認証マークは、生産している農園の持続可能性や農作物の輸入、加工する企業の生産流通の方法やトレーサビリティが確認できることを示すマークである。・コーヒー・紅茶・チョコレート・バナナ・メロン・ろうそく・株式会社ローソン
【RSPO認証ラベル】

RSPO認証ラベルは、持続可能なパーム油の生産や使用に貢献した製品であることを証明するラベルです。このラベルは、アブラヤシ農園の開発によって起きた熱帯雨林の破壊や、生産国での人権労働問題を改善するためにつくられた。・カップ麺・お菓子・パン・化粧品やパーソナルケア用品洗剤・医薬品・バイオ燃料・スターバックス・コーヒー・イケア・ジャパン・日清食品ホールディングス株式会社・花王株式会社
【GOTS認証】
Tシャツが描かれたこのラベルは、「Global Organic Textile Standard(GOTS)」と呼ばれており、オーガニック繊維製品の認証ラベルである。衣類や寝具、タオル、ベビーカー、糸、布など、繊維製品全般が対象となる。・衣類や寝具・タオル・ベビーカー・糸・布・PRISTINE・TENERITA
参考:国際認証ラベル一覧と意味を解説!売っている場所も – SDGsメディア『Spaceship Earth(スペースシップ・アース)』

企業に付与される国際認証ラベル

以下では、企業自体に付与される認証ラベルを紹介する。企業に付与されるというのは、全社的にサステナビリティに関連する取り組みが評価されている状態にある。企業に付与される認証ラベルのある企業は、国際的に「サステナビリティ」の取り組みレベルが高いと認識され、企業価値向上につながる可能性がある。

認証名とロゴ概要企業例
【B Corp認証】B Corp認証は、環境や社会へのパフォーマンス、透明性、説明責任、持続可能性において優れた会社に与えられる認証制度である。米国の非営利団体B Labによって運営され、厳しい評価基準を満たしている営利企業のみが認証を受けることができる。・ダノン・ジャパン・株式会社泪橋ラボ・日産通信株式会社・株式会社フリージア・石井造園株式会社・株式会社シルクウェーブ産業・株式会社エコリング
【Fair For Life(FFL) 認証】
Fair For Life認証は、スイスのエコロジー団体(IMO swiss AG、the Swiss Bio Foundation)によって2006年に作られた環境と人権を守るための基準である。Fair For Life認証には組織に対して与えられるFor Life 基準と製品に対して与えられるFair for Life 基準の2つがある。・Canaan Fair Trade・Lotus Foods・Earthoil・Florida Food Products・Natural Nectar
【SBTi認証】
Science Based Targets(SBT)とは、パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、1.5℃目標を目指す)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことを言う。・花王株式会社・株式会社コーセー・ANAホールディングス株式会社・味の素株式会社・日清食品ホールディングス株式会社・AGC株式会社
参考:https://esgjournaljapan.com/column/11160

まとめ

実際に、国際認証ラベルは私たちの身近なところにあり、私たちがよく知っている商品にもついている。国際認証ラベルの取得にはいくらかの手順が必要だが、ラベルを取得することで、消費者がエシカルな選択をすることが容易になる。今後、国内外でより一層認証ラベルの取得が求められるようになるだろう。

【おすすめ関連記事・ニュース】

今や取得が当たり前?サステナビリティに関する主な認証ラベル・制度:Part1:https://esgjournaljapan.com/column/10662

「Sainsbury’s、MSC認証のPB商品を販売、低価格路線も継続」:https://esgjournaljapan.com/world-news/29206

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