5月18日、世界銀行は、報告書「Thriving: Making Cities Green, Resilient, and Inclusive in a Changing Climate」を発表した。本報告書では、気候変動を食い止め、その影響から人々を守るために都市が果たす重要な役割について調査・提言を行った。
本分析では、世界の1万を超える都市のデータをもとに、人々がより豊かで健康的、かつ安全な生活を実現し、気候変動が食料、水、生物多様性などに及ぼす悪影響を逆転させる上で、都市が果たす極めて重要な役割にスポットライトを当てている。また、温室効果ガス(GHG)の排出を通じて都市が気候変動にどのように寄与しているか、干ばつ、洪水、サイクロンなどの気象現象の頻度や強度の増加によって都市の家計がどのような影響を受けるかについても検証している。
本報告書は、低所得国の都市のCO2排出量は世界の都市全体の約14%にすぎないが、低・中所得国の都市が気候変動に関連した最も深刻な災害に直面することを強調。さらに、2050年までにネット・ゼロを達成するためには、低所得国の都市は、高所得国の都市のような歴史的な排出の軌跡をたどることなく発展していかなければならないと訴えた。これらの都市を緑化するための技術革新と投資がなければ、たとえ高・中所得国が2050年までにネット・ゼロに移行することに成功したとしても、世界のGHG排出量は、地球温暖化を摂氏1.5度に抑えるために必要なレベルを上回ったままとなると予測する。
本報告書はまた、都市が緑地や持続可能なインフラへの投資を含め、これらの相互に関連する課題に取り組む総合的なグリーン都市計画戦略を採用する緊急の必要性も強調している。2050年までに25億人の都市居住者が増えると予想されるため、都市の水資源とインフラはさらにひっ迫し、森林などの生態系の保護と回復が、都市の回復力と水の安全保障に不可欠な要素となる。
【参照ページ】
(原文)Cities Key to Solving Climate Crisis
(日本語訳)世界銀行、都市のカーボンニュートラル実現に向けた報告書を発表