オーストラリア、銀行規制当局に気候変動リスクへの配慮と気候変動報告基準の採用を義務付け

6月7日、オーストラリア政府は、オーストラリアの金融規制機関であるオーストラリア健全性規制庁(APRA)に対し、気候変動関連リスクをその役割の一部として組み込むことを初めて義務付けることを発表した。

オーストラリアの財務大臣Jim Chalmersの声明によると、本要件は、ARPAに対する最新の期待声明(Statement of Expectations)の一部として発表され、「金融リスクに関連した透明性の促進、気候報告基準の採用」などが含まれている。

オーストラリア政府は2022年12月に、企業や金融機関のための気候リスク開示枠組みの開発に関するコンサルテーションペーパーを発表し、大規模な事業体に対して報告規則を義務付ける計画を示した。物理的および移行期の気候関連リスクを「世界の金融リスクに対する重要リスクとして」認識し、開示がそのリスクを管理する重要なツールを形成すると述べている。また、政府は財務省に対し、包括的な持続可能な金融戦略を策定するよう指示し、気候変動リスクの開示はその戦略の一部となる。

APRAはすでに金融システムにおける気候リスク要因を評価する取り組みを開始している。最近では国内の大手銀行5行を対象に、気候変動が将来的にビジネスに与える財務的影響の推定や、物理的・移行的気候リスクへの潜在的な対応をモデル化した気候脆弱性評価(CVA)を初めて実施した。

【参照ページ】
(原文)New Statement of Expectations and Statement of Intent for the Australian Prudential Regulation Authority
(日本語訳)オーストラリア、銀行規制当局に気候変動リスクへの配慮と気候変動報告基準の採用を義務付け

関連記事

“ランキングのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2025-4-2

    金融業界の95%のCO2排出は「間接的」:資金提供排出の実態

    3月6日、米信用情報大手のEquifaxが新たなブログを発表し、金融機関の温室効果ガス排出の約95…
  2. 2025-4-2

    サステナビリティの課題と機会 – 財務・ITとの連携が成功のカギ

    2月27日、ERM Sustainability Institute、Salesforce、Glo…
  3. ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    2025-4-1

    ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のオムニバス草案が提出され、欧州の開示規則が変わる中、20…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る