CO2をSAFに変えるクリーンテック企業OXCCU、約31億円を調達

CO2をSAFに変えるクリーンテック企業OXCCU、約31億円を調達

6月7日、気候技術企業のOXCCUは、1,800万ポンド(約31億円)を調達したと発表した。今回の資金調達により、同社は、回収した二酸化炭素から製造する持続可能な航空燃料(SAF)の商品化を目指す。

SAFは、現在、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の2〜3%を占める航空産業の脱炭素化を支援する重要なツールの一つと考えられている。SAFは一般的に、廃油や農業残渣などの持続可能な資源から生産され、現在の化石ベースのジェット燃料に比べて排出量を大幅に削減することが可能である。

航空会社や各国政府が気候変動目標の達成を目指す中、SAFの需要は今後も増加し続けることが予想されている。例えば、4月には欧州議会とEU理事会の議員が、EUの空港で使用する燃料に占めるSAFの割合を2050年までに70%に引き上げることを義務付ける新規則について合意した。

しかし、SAFを製造するための現在の技術の多くは、必要な原料の供給が限られているため、目標達成に必要な規模に達することが困難である。また、回収したCO2をSAFの原料として利用する方法も出てきているが、コストがかかるという問題がある。

2021年にオックスフォード大学化学部からスピンアウトしたOXCCUは、CO2を水から水素と結合させ、燃料、化学物質、生分解性プラスチックを生産する。OXEFUELとして販売されるOXCCUのSAFは、鉄ベースの触媒を使用して、回収した二酸化炭素と再生可能な資源から得られるグリーン水素を結合することで製造される。この方法により、化石燃料に代わる、より安価で環境に優しいジェット燃料が得られ、民間航空会社のニーズに応えられると述べている。

OXCCUは、今回の資金調達により、英国における技術力の強化、施設の拡張、チームの成長を図る。

シリーズA資金調達ラウンドは、Clean Energy Venturesが主導し、既存投資家のKiko Venturesとオックスフォード大学に加え、Aramco Ventures、Eni Next、United Airlines Ventures Sustainable Flight Fund SM、Braavos Capitalが新たに参加した。

【参照ページ】
OXCCU Raises $22 Million to Transform Carbon Dioxide into Sustainable Aviation Fuel

関連記事

“ホワイトペーパーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-7-23

    シェルパ、東洋経済新報社とシステム連携契約を締結

    7月23日、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社が開発・提供する企業向けESG情報開示支援クラウド…
  2. 2024-7-17

    GRI、新たにCSRD/ESRS開示のためのサポートサービスをリリース

    7月10日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新しいGRI-ES…
  3. 2024-7-17

    JCI、1.5℃目標に整合する2035年目標を政府に求める。216団体が賛同

    7月8日、気候変動イニシアティブ(JCI)は、「1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本…
ページ上部へ戻る