WBCSD、気候や自然への影響を測定するための循環型指標を更新して発表

5月30日、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、フィンランドのヘルシンキで開催された世界循環経済フォーラムで、循環型移行指標(CTI)v4.0を発表した。本指標は、企業が循環型戦略と気候や自然への影響との関連性を定量化するためのもので、最新のフレームワークである。

世界経済の循環率はわずか7.2%であり、企業が循環型パフォーマンスを向上させる必要性は、これまで以上に重要である。循環型経済は、2050年までに現在の世界の温室効果ガス排出量を最大40%削減し、自然破壊を食い止め、さらには逆転させることができるという研究結果が発表されている。しかし、企業は、排出量の削減や自然保護に対する循環型経済の実際の効果を測定するのに苦労してきた。

2020年に30社以上の企業と共同で初めてリリースされたCTIは、企業が自社の循環性を評価し、改善目標を特定し、進捗をモニターするための普遍的で一貫した方法を提供する。

CTIの新バージョンは、GHG影響評価手法を拡張し、循環型社会が企業の製品や素材のカーボンフットプリントにどのような影響を与えるかについて、より完全なイメージを提供することを特徴としている。この更新された手法は、広く採用されている炭素会計の手法に基づき、バリューチェーン全体で製品や素材の再利用を奨励することに重点を置いている。

また、CTI v4.0では、自然への影響に関する新しい指標を導入し、自然喪失の大きな要因である土地利用に焦点を当てた。企業は、CTIの手法を活用して、土地使用への影響を低減するためのさまざまな循環型調達戦略を評価できるようになった。

【参照ページ】
(原文)Circular Transition Indicators v4.0 – Metrics for business, by business
(日本語訳)循環型社会形成推進指標v4.0 – 事業別の評価指標

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る