4月21日、オーストラリア政府は来年、史上初のグリーンボンドを発行し、環境維持に向けた資金調達のために持続可能な金融市場に参加することを、ジム・チャルマーズ財務相が発表した。
今回のグリーンボンド発行計画は、チャルマーズ財務相が主催し、2兆ドル(約260兆円)以上の資産を持つ投資家が集まる第2回投資家ラウンドテーブルで発表されたもの。オーストラリアのネット・ゼロ目標達成に向けた投資の促進、持続可能な金融の成長支援、消費者のエネルギー性能向上への融資などに焦点が当てられている。
新しいグリーンボンドプログラムは、投資家がネット・ゼロに焦点を当てた公共プロジェクトを支援できるようにし、オーストラリアに多くのグリーン資本を呼び込み、国内のグリーンファイナンス市場の規模と信頼性を高めるのに役立つとされている。
グリーンボンド・フレームワークの策定後、2024年半ばに本プログラムを開始する予定である。
政府は、新たなグリーンボンド構想に加え、持続可能な金融の分類法の開発支援やグリーンウォッシングへの取り組みなど、持続可能な金融市場の発展を目指す多くの公約を説明した。
2020年11月、業界団体であるオーストラリア持続可能金融研究所(ASFI)は、金融システムをネット・ゼロ移行に合わせるための一連の提言と行動をまとめた「オーストラリア持続可能金融ロードマップ」を発表した。主要な優先事項の1つは、グリーン金融商品のラベリングのために、活動や資産を持続可能なものとして定義するための分類法の開発であった。政府は声明の中で、ASFIと連携して分類法の初期開発フェーズに共同出資することを発表した。
また、規制当局であるオーストラリア証券投資委員会(ASIC)に対し、グリーンウォッシングを取り締まるための監視・執行機能を拡充するため、400万ドル(約5億円)以上の資金を提供すると明言した。ASICは昨年、投資ファンドや金融商品のプロバイダーに対し、誤解を招くようなサステナビリティの主張を警戒していると警告し、2023年2月には、Marsh McLennan社のマーサー・スーパーアニュエーションに対してグリーンウォッシング関連の初の法廷闘争を開始した。
オーストラリアは昨年、気候変動に関する目標を法律で定め、2030年までに温室効果ガス排出量を2005年比で43%削減し、2050年までにネット・ゼロを達成するという目標を掲げている。
【参照ページ】
(原文)Investor Roundtable aligns efforts to deliver cleaner, cheaper energy
(日本語参考訳)オーストラリア、初のグリーンボンドを発行へ