IRENA、水力発電の課題に関する報告書を発表

2月13日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、パリ協定で定められた地球温暖化1.5℃を達成するためには、揚水発電を含む水力発電容量を2050年までに2倍以上に増やす必要があるとする報告書を発表した。設置容量を2倍にするためには、水力発電への投資を現在から2050年の間に5倍にする必要がある。必要な1000億ドル(約13兆円)の投資を達成するために、IRENAは市場が水力発電の高い価値を認識するよう提案している。

IRENAによると、水力発電はすでに世界最大の再生可能エネルギー源だが、膨大な水力発電の潜在能力は未開拓のままだという。アジアは、現在、水力発電の設置容量が最も大きい大陸である。中国は、年間1,300TWhの水力発電を行う世界最大の発電国である。

設置コストは高いが、水力発電は最も安価な再生可能エネルギー源である。にもかかわらず、近年、水力発電への投資は、太陽光発電や風力発電への投資に押され気味である。2013年から2018年にかけて、再生可能エネルギーへの投資が1.8兆ドル(約244兆円)であるのに対し、水力発電への投資は約720億ドル(約9.7兆円)であり、再生可能エネルギー投資全体の約4%に相当する。

本報告書の世界の水力発電の分析によると、水力発電所の平均年齢は40年である。引退した水力発電所の平均耐用年数は60年だ。同機関は、現代の電力システムの要件に適合するよう、プラントの近代化を呼びかけている。

IRENAによると、極端な気象現象に関連する気候リスクにより、既存のプラントは評価され、潜在的に改修される必要があるとのことだ。アフリカ、アジア、中東、南米は、ヨーロッパ、北米、オセアニアと比較すると、水力発電の設備がかなり新しく、ほとんどが過去30年間に設置されたものだ。

さらにIRENAは、水力発電の潜在的な可能性のほとんどは発展途上国にあるとし、新しい水力発電所に融資する機関は、潜在的な可能性を活用するために地方自治体やコミュニティと協力する必要があるとしている。

【参照ページ】
(原文)New IRENA report highlights hydropower’s evolving role
(日本語参考訳)進化する水力発電の役割に注目したIRENAの新レポート

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