12月15日、グローバルなアドバイザリー・ブローキング・ソリューション企業のWTWが発表した新しい報告書によると、大手上場企業は、過去1年間に役員インセンティブ報酬制度におけるESG指標の統合を大幅に強化し、2022年には4分の3以上の企業が少なくとも一つのESG指標を利用、環境およびDEI指標の利用は前年比でおよそ2倍に増加していることが明らかになった。
WTWは、本報告書の作成にあたり、米国、欧州、英国、カナダの上場企業のうち、複数のセクターにまたがり、年間売上高の中央値が100億ドル(約1兆3,087億円)の大企業885社の情報開示を調査した。
調査の結果、調査対象企業の77%がインセンティブプランに少なくとも1つのESG指標を使用しており、2021年の68%から増加していることがわかった。ESG指標は短期インセンティブ(STI)プランで最もよく利用されており、75%の企業がこれらのプランに少なくとも1つの指標を利用している(昨年は66%)。一方、長期インセンティブ(LTI)プランへのESG統合は急速に拡大しており、前年のわずか13%に対し、2022年には21%に達している。
カテゴリー別では、環境と多様性・公平性・包括性(DEI)が昨年より最も大きく増加しており、現在、役員報酬制度に少なくとも一つの環境指標を含める企業は、2021年の22%から2022年には40%に、DEI指標を用いる企業は22%から45%に増加した。
全体として、72%の企業がDEIや従業員の健康と安全などの社会的指標を少なくとも1つ、45%がガバナンス指標を少なくとも1つ、40%が環境指標を使用していることが判明した。
本報告書によると、各カテゴリーで最も多く使われている手法は、環境では炭素排出削減、エネルギー転換、環境計画、社会では後継者/人材管理、従業員エンゲージメント、経営者代表、労働者代表、ガバナンスではステークホルダーとの関係、コンプライアンスなどであった。
また、本報告書では、ESG指標の報酬への反映について、地域やセクターによる違いも浮き彫りにされた。インセンティブプランにESG指標を活用している企業の割合は、欧州が91%と最も高く、米国は69%と最も低い結果となった。この差は特に長期計画で顕著で、欧州では46%の企業がLTI計画に指標を組み込んでいるのに対し、英国では37%、米国では8%、カナダでは7%にとどまっている。
セクター別では、インセンティブプランにおけるESGの普及率は、公益事業とエネルギーセクターで最も高く、それぞれ93%と92%、ITセクターでは最も低く、59%にとどまった。消費者向けディスクリプションは68%と2番目に少ないものの、インセンティブプランにおけるESG指標の利用が最も急速に増加しており、過去1年間で14%ポイント増加している。
【参照ページ】
ESG measures in executive incentive plans gaining momentum, WTW study finds