EU、ロシアの化石燃料撤退の資金調達に約116億円の復興基金を開放

2月21日、欧州連合(EU)は、コロナウイルスの大流行を受け2年前に採択された8000億ユーロ(約116億円)の復興基金に、エネルギー自立の目標を追加する改革を完了した。この新しい目標は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて欧州委員会が昨年5月に採択した「REPowerEU」と呼ばれる計画に記載されている。

欧州委員会のREPowerEU計画は、主に自然エネルギーの普及に重点を置いており、新築の建物に太陽光発電の屋根を設置することを義務付ける新しい条項や、エネルギー効率とエネルギー貯蔵能力を高めるための措置が盛り込まれている。欧州委員会の高官は、火曜日に記者団に更新された目標について説明した際、「対象となるためには、支出の37%を『グリーン支出』に充てる必要がある」と説明した。

さらに、支出の3分の1以上を国境を越えたプロジェクトに充てる必要がある。このプロジェクトは「広義に定義」されており、再生可能エネルギーやエネルギー効率化プロジェクトも含まれる。これは、供給安定性を高めるものであり「国境を越えた性質を持つ」ためだと同担当者は説明している。

欧州委員会は昨年の計画発表時に、REPowerEU計画には、不足しているガスインフラに約100億ユーロ(約1.4兆円)、ロシアの石油の欧州への出荷を止めることを考慮した石油インフラに最大20億ユーロ(約2,905億円)の資金を提供することも含まれていると指摘した。

ロシアの化石燃料から撤退するための資金として、200億ユーロ(約2.9兆円)相当の追加助成金が用意される予定である。その内訳は、60%がInnovation Fund、40%がFrontloading carbon allowancesで、EUの炭素市場から徴収される。さらに、EUのブレグジット調整準備金から54億ユーロ(約7,845億円)が、REPowerEUの目標達成のための資金に回される。EU諸国は、REPowerEUの下で利用可能な2250億ユーロ(約32兆円)の融資を利用したいかどうかを示すために、1ヶ月の猶予を与えられている。

【参照ページ】
(原文)EU recovery plan: Council adopts REPowerEU
(日本語参考訳)EUの復興計画。EU理事会、REPowerEUを採択

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る