1月27日、小売大手Tescoは、最大手の圃場野菜サプライヤー5社と提携し、英国の食糧安全保障に貢献すると同時に、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出を削減する、英国史上最大規模の低炭素肥料の商業展開を開始すると発表した。農家が追加費用を負担することなく、初年度だけで温室効果ガスを最大20%削減する見込み。
2023年の栽培シーズンには、8種類の有望な代替肥料が1,300ヘクタールで使用される。2024年にはTescoの畑作野菜サプライヤー全体で最低4,000ヘクタールまで拡大する予定である。
化学肥料のコストは昨年に比べて140%も上昇しており、ウクライナの戦争による不足に悩む農家にとって、低炭素型肥料は費用対効果の高い代替品となる可能性もある。8つの肥料メーカーのうち6社は、生ゴミ、鶏糞、消火器カス、藻類などを原料に英国内で製品を製造する。
英国は現在、必要な肥料の約60%を輸入しており、最近では化学肥料工場の閉鎖により国内生産が打撃を受けている。 英国で低炭素の肥料を生産することで、環境に優しい雇用を創出し、化学肥料への依存を減らすことが期待されている。
Tescoは、従来の肥料による排出が60%以上を占める小麦や大麦、牛肉・羊肉・乳製品のサプライチェーンにおける草地など、他の農産物分野にも低炭素型代替肥料を導入する予定である。初年度は最大7万トンの生鮮食品を生産し、2024年には20万トンにまで拡大する。本取り組みは、2050年までにバリューチェーン全体でネット・ゼロ・エミッションを達成するというTescoの野望の一環として推進されている数多くのイノベーションの一つである。
試験に参加するサプライヤーのひとつ、HuntapacはTesco最大のニンジンサプライヤーで、Tescoに50年近く供給している。同サプライヤーは、低炭素肥料「R-Leaf」を使用する。
また、2050年までにサプライチェーン全体でネット・ゼロを達成するというTescoの幅広い取り組みの一環として、農場での排出量削減に向けたアプローチにも貢献する。
【参照ページ】
(原文)Greener greens: Tesco launches UK’s largest low-carbon fertiliser roll-out to increase food security and cut the carbon footprint of its veg
(日本語参考訳)Tesco、英国最大の低炭素肥料を導入し、食の安全確保と野菜のカーボンフットプリントを削減