1月27日、金属テクノロジー企業のBoston Metalsは、パイロットプラントでのグリーン・スチール生産の拡大、およびゼロエミッション技術を用いた高価値金属の商業プラント建設支援を目的として、1億2千万ドル(約156億円)の資金調達を行ったと発表した。
この資金調達ラウンドは、多国籍鉄鋼企業のArcelorMittalが、鉄鋼業界のカーボンニュートラル製鉄への移行を加速させる画期的な技術を開発する企業に投資するXcarbイノベーションファンドを通じて主導したものである。
世界のメーカーがサプライチェーンの脱炭素化を目指す中、化石燃料を使用しない鉄鋼の需要は大幅に増加すると予想される。鉄鋼業は世界でも有数のCO2排出国であり、この分野からの温室効果ガス排出量は、世界の化石燃料の使用による直接排出量の7~9%を占めている。
Boston Metalsは、グリーン・スチールだけでなく、スズやニオブなどの高価値金属にも使用できる、電力を利用した金属生産プラットフォームである溶融酸化物電解(MOE)を商業化している。このワンステップ技術は、再生可能な電力を用いて、エネルギー効率の高いプロセスであらゆる等級の鉄鉱石を鋼に変換し、現在は廃棄物とされている複雑で低濃度の物質から貴重な金属を選択的に抽出する。その結果、CO2排出量ゼロ、プロセス水、有害化学物質、貴金属触媒を必要とせず、従来の生産方法と比較してコスト競争力のあるプロセスを実現する。
同社は、今回の資金調達により、ボストン郊外の同社パイロット施設におけるグリーンスチールの生産拡大、同社初のグリーンスチール工場の立地選定と予備設計の支援、ブラジルにおける同社初の高価値金属生産用商業工場の建設支援に充てると述べている。
【参照ページ】
(原文)Boston Metal Announces $120M Series C Financing Led by ArcelorMittal
(日本語参考訳)ボストン・メタル、アルセロール・ミッタルが主導する1億2000万ドルのシリーズCファイナンスを発表