Air France-KLM、気候変動目標に連動した1400億円超の高利回りSLBを発行

Air France-KLM、気候変動目標に連動した1400億円超の高利回りSLBを発行

1月10日、Air France-KLMは、サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)の初回発行が完了し、高利回りの募集で10億ユーロ(約1,421億円)を調達したと発表した。

本社債は5億ユーロ(約710億円)の2つのトランシェで構成されており、3.3年満期、利率7.250%、5.3年満期、利率8.125%となっている。航空業界では初のユーロ建てのSLB発行である。

サステナビリティ・リンク・ボンドは、サステナブルファイナンスの中で最も急速に成長している分野の一つで、発行体の特定のサステナビリティ目標の達成度に連動した利払いなどの特性を備えている。グリーンボンドなどでは、調達した資金を特定のグリーンプロジェクトにしか充当できないのに対し、サステナビリティリンク債は調達資金を一般企業の目的に柔軟に使用できるため、企業の関心が急速に高まっている。

Moody’s Investors Serviceは、発行体のSLB目標の信頼性と堅牢性に対する市場の監視が強まったことや、本セクターが高利回り発行にさらされていることなどを要因として挙げている。

こうした要因にもかかわらず、Air France-KLMはこの募集に対する強い需要を報告し、オーダーブックは26億ユーロ(約3,695億円)に達し、募集規模の約2.6倍となった。

Air France-KLMは昨年、CO2排出量削減戦略を発表し、2030年までにスコープ1と3の温室効果ガス(GHG)排出量をRTK(Revenue tonne kilometre)あたり30%削減する目標を掲げている。同社によると、2022年末にScience Based Targets initiative(SBTi)が、2℃を十分に下回る目標に沿うものとして、その目標を承認した。

今回のSLBの条件では、社債のクーポンは2030年の目標に対する同社の進捗に連動し、特に2025年までにwell-to-wakeのスコープ1および3のジェットフュールのGHG排出量を2019年と比較して10%削減することの達成に結びつけられる。

同社は発行により、今後数年間の債務償還プロファイルを円滑化するとともに、航空機の更新を含む持続可能な変革計画の実施を支援するとしている。

【参照ページ】
(参考記事)UPDATE 1-Air France-KLM tests European high-yield debt appetite with sustainability-linked bond

関連記事

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2025-5-16

    EBA、EU域内銀行の気候リスク指数を初公開

    4月25日、欧州銀行監督機構(EBA)は25日、EUおよびEEA(欧州経済領域)域内の銀行セクター…
  2. 2025-5-16

    米国グリーンビルディング協会、持続可能な建築基準「LEED v5」を発表

    4月28日、米国グリーンビルディング協会(USGBC)はLEED(Leadership in En…
  3. 2025-5-14

    ニューヨーク市会計監査官、新たな排出削減基準を発表

    4月22日、ニューヨーク市会計監査官(Comptroller)のBrad Lander氏は、アース…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る