オックスフォード、Nature Positive Universities Allianceをリード
12月8日、オックスフォード大学と国連環境計画(UNEP)は、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、「 Nature Positive Universities Alliance」の発足を発表した。「Nature Positive Universities Alliance」 は、高等教育機関がそのユニークなパワーと影響力を活かし、ポジティブな変化を促進することを目的としている。大学はすでに環境保護に関する研究を行っており、政府や企業の活動に情報を提供している。しかし、大学は自らのサプライチェーンや事業が自然に与える影響に公に取り組むことで、気候変動、生物多様性の損失、汚染という3つの惑星の危機に対処する道を、より広い社会に対して導くことができるのである。
国連の「生態系の回復に関する10年」の一環であるこのイニシアティブは、48カ国の117大学が自然界への影響に取り組むことを個別に誓約してスタートする。大学の誓約には4つの重要な要素が含まれている。
1) ベースライン評価の実施
2) 自然に対する具体的かつ期限付きの測定可能な目標の設定
3) 生物多様性への影響の低減、種や生態系の保護・回復のための大胆な行動、および他大学への影響力の付与
4) 透明性のある年次報告
本イニシアティブは、2035年までに生物多様性を純増させるという野心的な目標を設定し、ネット・ゼロのコミットメントを行ったオックスフォード大学の経験をもとに構築されている。オックスフォード大学の環境持続可能性戦略は、環境フットプリントを定量化し、それらに対処するためのフレームワークを確立した研究を基盤としている。
本発表されたすべての設立大学は、自分たちの影響を評価して、最もインパクトのある取り組みを決定し、その進捗を報告することを約束した。これまでの取り組み例としては、以下のようなものがある。
- アルゼンチンのブエノスアイレス大学とブラジルのカンピーナス大学の生態系コリドー、英国のリンカーン大学の花粉媒介者をサポートするための新しいグリーンウォールなど、自然に優しいインフラの構築
- インド・ビカネールのガバメント・ダンガー大学やポルトガル・アベイロ大学での機関林の整備による植林・復元への貢献
- フィンランドのトゥルク大学で全学的な生物多様性の調査と監査を完了し、メルボルン大学の全キャンパスでの生物多様性向上
- オックスフォード大学では食品廃棄物の削減と持続可能なメニューの提供、ナイジェリアのアフマド・ベロ大学では大学の食堂に供給する農産物を自社で生産するなど、持続可能なケータリングを通じてサプライチェーンの改善
- エクセター大学のすべての研究所でグリーンラボの認定を受けるなど、業務上のフットプリントを改善するためのコミットメント
- アルジェリア、ナイジェリア、インド、カナダで、自然を肯定する目標に向かって協力する大学の地域ハブの設立
さらに408の大学の人々がすでにこの広いネットワークに参加しており、研究を進め、上層部に働きかけ、自分たちの活動のケーススタディを共有することで、大学の環境目標達成に近づくための役割を果たしている。
また、本イニシアティブには学生アンバサダー・プログラムもあり、35カ国から100人以上の学生が参加し、キャンパス内で自然に対するポジティブな意識とアプローチに向けた行動を起こしている。彼らは、自然再生へのボランティア活動や苗木の設置など、自然を肯定する活動を提唱・組織化し、大学のサステナビリティを推進するために学業を活用することで、大学としての誓いを立てるよう働きかけているのである。
Nature Positive Universities Allianceは、世界中の大学に対し本イニシアティブに参加し、組織的な誓約を行うよう呼びかけている。
【参照ページ】
(原文)Oxford leads Nature Positive Universities Alliance to reverse biodiversity decline
(日本語参考訳)オックスフォード大学が生物多様性の減少を食い止める「ネイチャー・ポジティブ大学連合」を主導