欧州中央銀行、気候変動リスクのストレステストを銀行向けに開始

欧州中央銀行、気候変動リスクのストレステストを銀行向けに開始

1月27日、欧州中央銀行(ECB)は気候変動リスクに起因する金融・経済ショックに対する銀行の備えを評価することを目的とした、監督機関による気候変動リスクのストレステストの開始を発表した。

ECBが「銀行と監督当局が共に学ぶ場」と表現する本テストは、銀行が気候関連リスクを管理する際に直面する脆弱性、ベストプラクティス、課題を明らかにすることを目的としている。テストは2022年の前半に実施され、7月には結果が公表される予定だ。

新しいストレステストの開始は、昨年11月にECBが発表した欧州の銀行セクターの気候・環境(C&E)リスクの管理に関する包括的なレビューの結果を受けたものだ。その結果、準備態勢が大幅に不足していることが明らかになり、期待通りの銀行はなく、多くの銀行が十分な改善計画を持っていないことが判明した。

ECBによると、新しいストレステストは銀行のバランスシート全体ではなく、気候変動リスクにさらされている特定の資産クラスを対象とし、気候変動リスクに対して最も脆弱なエクスポージャーや収入源に焦点を当てて行われる。テストでは、NGFS(Network of Central Banks and Supervisors for Greening the Financial System)が作成した、将来起こりうる気候政策を反映したシナリオを使用し、熱、干ばつ、洪水などの物理的なリスクと、環境に配慮した経済への移行に起因する短期および長期のリスクを評価する。

ECBはストレステストの結果は銀行の資本に直接影響を与えるものの、監督上の審査・評価プロセス(SREP)に定性的な情報を提供し、SREPのプロセスを通じて間接的に第2の柱の要件に影響を与える可能性があると述べている。

【参照ページ】
(原文)ECB Banking Supervision launches 2022 climate risk stress test
(日本語訳)ECB、気候変動リスクのストレステストを銀行向けに開始

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-9-11

    ESMA、第2回リスク監視報告書を発表し、ESG投資の減速を指摘

    8月29日、欧州証券市場監督局(ESMA)は2024年の第2回リスク監視報告書を発表した。同報告書…
  2. 2024-9-11

    Microsoft、EDPRと20年間の再生可能エネルギー購入契約を締結

    8月26日、再生可能エネルギー生産会社のEDP Renewables(EDPR)は、Microso…
  3. 2024-9-11

    気候技術企業のCarbon Caputure、DACプロジェクトの一時停止を発表

    8月30日、気候技術企業のCarbon Caputureは、新たに声明を発表し、現在の同社の計画に…
ページ上部へ戻る