2月13日、ドイツ化学大手コベストロは、重要な化学物質であるアニリンを、石油の代わりに植物バイオマスを原料として製造する独自のプロセスを初めて導入したと発表した。まずは、パイロット・プラントでバイオベースのアニリンを大量に生産し、新技術をさらに発展させて工業規模に移行する。従来の技術に比べ、本プロセスはアニリンのCO2排出量を大幅に改善する効果を持つ。
プラスチック産業では、アニリンは特にMDIの製造に使用される。建物のエネルギーを節約し、CO2排出量を削減する断熱発泡体に使用される場合が多い。
本プロセスでは、カスタマイズされた微生物が、植物から抽出された工業用糖を発酵によって中間生成物に変換する。従来のプロセスよりも温和で、環境適合性の高い条件下で行われる。第二段階では、中間生成物の化学触媒反応によって、100%植物由来の炭素を含むアニリンが生成される。
バイオベースのアニリンに関する研究は、ドイツ政府からも引き続き資金援助を受けている。ドイツ食糧農業省は、2022年3月に始まり2025年まで続く、コベストロとパートナーによるフォローアップ・プロジェクト(Bio4PURDemo)に資金を提供。
本プロジェクトには、RWTHアーヘンとCAT触媒センター、シュトゥットガルト大学、そして同大学の技術移転イニシアチブも参加している。
現在、世界中で約600万トンのアニリンが生産されており、その量は年平均で約3〜5%増加している。年間100万トン以上の生産能力を持つコベストロは、アニリン生産大手のひとつである。